EVER LASTING MOMENT VOL.15

2025年2月6日発行

■EVER LASTING MOMENT VOL.15
○昭和の薫り漂うWEBマガジン
○推奨年齢50歳以上
○無駄に過激な性的描写閲覧注意(R18)
○小説/散文/妄想/企画 或れ此れ其れ何れなんでも有り
○誤字脱字間違い辻褄合わず各自適宜補完にてよろしく哀愁

いずれ一夜の夢ならば
呑んで謡って ホイのホイのホイ
今宵とことん ホンダラッタホイホイ

〜コンテンツ〜
■あれから50年(1975年・昭和50年)
■映画/ドラマ/スポーツなど
■日々是雑感2025 1980年代の曲
■U-NEXT見放題(R18)
■島耕作(課長47〜49)
■黒川博行「切断」雑感
■柳沢きみお「羽なしティンカー・ベル」雑感
■20XX Tボール観戦記(短編)
■20XX CEO星野の話(短編)
■フォーエバー・ワンナイトラブ(シナリオ)
■1985年日記(01/21月〜02/03日)
■2025年日記(01/20月〜02/02日)

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■あれから50年(1975年・昭和50年)
★映画
○01/15水 ゴールド(1974=Peter Hunt)120分 U-NEXT ※Roger Moore
○01/15水 日本任侠道 激突篇(1975=山下耕作)95分 U-NEXT ※高倉健
○01/15水 ザ・カラテ3 電光石火(1975=野田幸男)86分 U-NEXT ※山下タダシ
○01/15水 ドラゴンへの道(1972=Bruce Lee)100分 U-NEXT ※Bruce Lee
○02/01土 どてらい男(1975=古澤憲吾)87分 ※西郷輝彦
○02/08土 ボルサリーノ2(1974=Jacques Deray)90分 U-NEXT ※Alain Delon
○02/08土 サブウェイ・パニック(1974=Joseph Sargent)104分 U-NEXT ※Walter Matthau
○02/15土 少林寺拳法(1975=鈴木則文)87分 U-NEXT ※千葉真一
○02/15土 仁義の墓場(1975=深作欣二)93分 U-NEXT ※渡哲也
○02/15土 青春の門(1975=浦山桐郎)188分 U-NEXT ※田中健
○02/22土 離愁(1973=Pierre Granier-Deferre)95分 U-NEXT ※Jean-Louis Trintignant
○03/01土 オデッサ・ファイル(1974=Ronald Neame)130分 amazon有料 ※Jon Voight
○03/01土 暗黒街の顔役(1974=Menahem Golan)110分 ※Tony Curtis
★テレビ
○8時だョ! 全員集合(TBS 土曜20:00)
★ヒット曲
○岩崎宏美「ロマンス」
○野口五郎「私鉄沿線」
○沢田研二「時の過ぎゆくままに」
○布施明「シクラメンのかほり」
○キャンディーズ「年下の男の子」
○ダウン・タウン・ブギウギ・バンド「スモーキン・ブギ」「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」
○風「22才の別れ」
★ベストセラー
○有吉佐和子「複合汚染」
★流行語
○あんたあのコのなんなのサ
★スポーツ
○広島カープ初優勝(赤ヘルフィーバー)
○長嶋茂雄新監督(球団史上初の最下位)
○沢松和子ウィンブルドン女子ダブルス優勝
★社会現象など
○家庭用ビデオ発売(VHS、ベータ)※約30万円
○プッシュホン式公衆電話
○ディスコでフィーバー
○ベトナム戦争終戦
*参照サイト・参考文献
https://moviewalker.jp/list/1975/
現代風俗史年表

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■映画/ドラマ/スポーツなど
●2024年
○虎に翼(朝ドラ)伊藤沙莉
○おむすび(朝ドラ)橋本環奈
○光る君へ(大河ドラマ)吉高由里子
○極悪女王(Netflix)※全5話
○地面師たち(Netflix)※全7話
○機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム(Netflix)全6話 ※1年戦争
○ハウス・オブ・ザ・ドラゴン2(U-NEXT)※全8話
○No Activity(Amazon)※全6話
○STAR WARS アコライト(Disney+)※全8話
○STAR WARS スケルトン・クルー(Disney+)※全8話
○10/05土〜02/11火 モネ 睡蓮のとき(国立西洋美術館)
○11/29金 正体(2024=藤井道人)120分
○12/13金 不思議の国のシドニ(2023=Elise Girard)96分
○12/14土 キノ・ライカ 小さな町の映画館(2023=Veljko Vidak)81分
○12/20金 ライオン・キング ムファサ(2024=Barry Jenkins)118分
○12/27金 I Like Movies(2022=Chandler Levack)99分
●2025年
○べらぼう(大河ドラマ)横浜流星
○阿修羅のごとく(Netflix)全7話 ※是枝裕和監督
○ザ・ピット ピッツバーグ緊急医療室(U-NEXT)全15話 ※金曜日11:00更新 ※ノア・ワイリー
○01/03金 ビーキーパー(2024=David Ayer)105分 ※ジェイソン・ステイサム
○01/10金 エマニュエル(2024=Audrey Diwan)105分
○01/10金 劇映画 孤独のグルメ(2025=松重豊)110分
○01/17金 敵(2023=吉田大八)103分
○01/17金 サンセット・サンライズ(2024=岸善幸)139分 ※脚本宮藤官九郎
○01/17金 アーサーズ・ウイスキー(2024=Stephen Cookson)95分 ※ダイアン・キートン
○01/17金 アプレンティス ドナルド・トランプの創り方(2024=Ali Abbasi)123分
○01/17金 トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦(2024=Soi Cheang)125分
○01/24金 TOUCH タッチ(2024=Baltasar Kormakur)122分
○01/24金 アンダーニンジャ(2025=福田雄一)123分
○01/24金 嗤う蟲(2024=城定秀夫)99分
○01/31金 ザ・ルーム・ネクスト・ドア(2024=Pedro Almodovar)107分
○01/31金 リアル・ペイン 心の旅(2024=Jesse Eisenberg)90分
○01/31金 映画を愛する君へ(2024=Arnaud Desplechin)88分
○01/31金 パピヨン(1973=Franklin J. Schaffner)151分
○02/07金 ファーストキス 1ST KISS(2025=塚原あゆ子)124分 ※松たか子 ※坂元裕二脚本
○02/07金 ショウタイムセブン(2025=渡辺一貴)98分 ※阿部寛
○02/07金 誰よりもつよく抱きしめて(2025=内田英治)124分 ※久保史緒里
○02/08土 ナマズのいた夏(2024=中川究矢)88分 ※架乃ゆら
○02/09日 第59回スーパーボウル
○02/13木 コブラ会 最終シーズンPART3(Netflix)
○02/14金 キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド(2025=Julius Onah)118分
○02/14金 セプテンバー5(2024=Tim Fehlbaum)95分 ※Peter Sarsgaard
○02/14金 愛を耕すひと(2023=Nikolaj Arcel)127分 ※Mads Mikkelsen
○02/14金 ドライブ・イン・マンハッタン(2023=Christy Hall)100分 ※Dakota Johnson
○02/14金 ブレックファスト・クラブ(1985=John Hughes)97分 ※Molly Ringwald
○02/14金 Broken Rage(2024=北野武)60分(amazon)
○02/14金 Jリーグ開幕(現行春秋制最終シーズン)
○02/15土~03/07金 脚本家で観るロマンポルノ(ヴェーラ)
○02/21金 ブルータリスト(2024=Brady Corbet)215分 ※Adrien Brody
○02/21金 ゆきてかへらぬ(2025=根岸吉太郎)128分 ※広瀬すず
○02/28金 ANORA アノーラ(2024=Sean Baker)139分 ※Mikey Madison
○02/28金 名もなき者(2024=James Mangold)140分 ※Timothee Chalamet
○02/28金 ジュ・テーム、ジュ・テーム(1968=Alain Resnais)96分 ※Claude Rich
○03/07金 フライト・リスク(2024=Mel Gibson)91分 ※Mark Wahlberg
○03/07金 バッドランズ(1973=Terrence Malick)94分 ※Martin Sheen ※長編初監督作品
○03/07金 白夜(1971=Robert Bresson)83分 ※Isabelle Weingarten
○03/18火 MLB開幕戦ドジャースvsカブスat東京ドーム
○03/20木 教皇選挙(2024=Edward Berger)120分 ※Ralph Fiennes
○03/20木 悪い夏(2025=城定秀夫)114分 ※北村匠海
○03/28金 ミッキー17(2025=Bong Joon-Ho)137分 ※Robert Pattinson
○03/28金 ベイビーガール(2014=Halina Reijn)114分 ※Nicole Kidman
○03/28金 プロ野球開幕
○03/31月 あんぱん(朝ドラ)今田美桜
○04/05金 HERE 時を越えて(2024=Robert Zemeckis)104分
○04/13日 大阪・関西万博開幕
◯06/14土〜07/13日 サッカークラブW杯アメリカ大会(新方式、32チーム)
○夏 遠い山なみの光(2025=石川慶)※原作カズオ・イシグロ
○09/13土〜09/21日 世界陸上(東京)
○10月 ばけばけ(朝ドラ)髙石あかり
○11/06木 ストレンジャー・シングス 未知の世界最終シーズン(Netflix)
○冬 果てしなきスカーレット(2025=細田守)
●2026年
○1月 豊臣兄弟!(大河ドラマ)仲野太賀
◯02/06金 ミラノ・コルティナ五輪
○3月 第6回WBC
○05/22金 STAR WARS新作公開?
◯06/11木 サッカーW杯アメリカ/カナダ/メキシコ大会
○8月 Jリーグ開幕(秋春制第1シーズン)
○12/18金 STAR WARS新作公開?
●2027年
○世界陸上(北京)
○バスケW杯
○ラグビーW杯オーストラリア ※20→24に増加?
○12/17金 STAR WARS新作
●2028年
○EURO2028イギリス/アイルランド
○07/14金〜07/30日 ロサンゼルス五輪
●2029年
○世界陸上(バーミンガム?)
●2030年
○02/01金〜2/17日 フランスアルプス五輪
○サッカーW杯モロッコ/ポルトガル/スペイン大会(100周年記念大会)
●2031年
○世界陸上
●2032年
○EURO2032イタリア/トルコ
○07/23金〜08/08日 ブリスベン五輪
●2034年
○ソルトレイクシティー・ユタ五輪
○サッカーW杯サウジアラビア大会

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■日々是雑感2025 1980年代の曲

いつの間にか、世間ではやっている曲が心に響かない年齢になっていた。
どの曲もどこかで聴いた事があるようなメロディーに聞こえてくる。
多分真剣に聴けばそんな事はないのかもしれないが、そもそも、いつでもネットで聴けるだろう、という意識があるせいか、真剣に聴こうという気になれない。
最近発売・配信された歌で、歌手名と曲名をはっきり覚えている曲は多分数曲しかない。
人の名前が咄嗟に出てこないのと同様に、ヒットソングに関しても、記憶の引き出しの容量は決まっているのかもしれない。

子供の頃に好きだった曲はいま聴いても心に響く。
新曲・ヒット曲を熱心に聴いていた1980年代前半、当時はインターネットなんてモノはなかったので、紙の雑誌のオリコン(小さい新聞のような形態だった)でヒットチャートをチェックして、トップテンに入っている曲は演歌以外は全て一度はラジオで聞いて、好きな歌手の曲・ラジオで聞いて印象に残った曲は、通学の最寄りの地下鉄の駅のそばのレンタルレコード店でEPレコードを借りてカセットテープにダビングした。
EPレコードのレンタル料金は1枚50円(発売直後は100円だったかもしれない)。
金を出して借りたからには、少なくとも数回は真剣に聴いてノートに感想をメモして、傑作と感じななくてもA面B面ともにカセットテープにダビングした。

YouTubeで「80年代 歌謡曲」と検索すれば、当時の曲は膨大に出てくる。
ネットがなかったあの頃に比べて信じられない程便利になったが、それでも、時々、自分でアナログレコードからダビングしたカセットテープを繰り返し聞いていたあの頃に、少しの時間でもいいから戻りたい、と痛切に思う。
スマホやパソコンで何でもできるいまと違い、その場ですぐにできる事が限られていた分、その瞬間にやっている事に対する熱中・集中は当時の方が断然濃密だった気がする。

1980年代前半はコンピューターで楽器の音を作る流行が日本の歌謡曲に及んできた時代だった。
当時はそういう音を「打ち込み」と呼んでいて、ドラムの音を打ち込みで作っている曲はたくさんあったが、全体を打ち込みで作っているような曲(きゃりーぱみゅぱみゅとかPerfumeのような曲)はまだ少なく、そういう曲を聴くと「新しい」と感激した。
○イモ欽トリオ「ハイスクール・ララバイ」1981年
○徳丸純子「PICAPICA」1983年
○柏原芳恵「ト・レ・モ・ロ」1984年
いずれもiTunesの自作のプレイリスト「1980年代」に入っているので聴いてみる。
2025年のいま聴いても、当時のように「新しい」と感じてしまう。
げんみつに言うと、当時「新しい」と感じていた感覚が鮮烈に蘇る。

そんな事を考えながら、ベッドで横になって1980年代の曲を延々聴く。
その当時の曲を聴き続けているうちに、当時の気分が蘇ってきて、心は自然に過去に翔んでイスタンブール。
だんだん、ウトウトしてきて、運が良ければ、あの頃の夢を見る事ができる。

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■U-NEXT見放題(R18)
※自然に感じられる画を重視してチェック(顔面テカリ否定派)
※女優を生かすも殺すも髪型/メイク/衣装/撮る角度/照明次第
※現在は配信停止になっている可能性があります

●めい 脱衣野球拳(2024年1月)50分
○かわいい系、角度によっては永野芽郁、乳首小さめ、無毛
○路上ナンパ設定(音声なし)
○キュロットスカートと下着をずらして性器露出(全部脱がすより妙にエロい、4分頃)
○仁王立ちフェラの目を閉じた顔まあまあかわいい、照明ひかえめ(30分頃)

●SOD女子社員 人事部 石川陽波(25)(2024年1月)185分
○角度によってはアイドル風フェイス、密着2日目のポニーテール似合う、横顔美人、微乳、無毛
○勃起したチンポを見てエロモードに入っていく演技グッド(36分頃〜)
○オレンジの照明で肌が魅力的に見える絡み(45分頃〜)
○白っぽい照明のテカりよりはマシだが寄ると顔面テカる(60分頃)
○ほぼ座った体勢の後背位(67分頃)
○オフィスのチェアで強引にフェラ(135分頃)
○下だけ脱がせて自分で触らせる、非日常感の表情演技グッド(139分頃)
○素人設定男優が脱ぐ、とまどいとためらいの表情演技グッド(173分頃)

●SOD女子社員 ハーレムドスケベ新年会(2023年12月)237分
○社員設定6名出演、自己紹介4人目総務部郡司穂香まあまあかわいい、6人中3人がメガネ
○最初のゲーム(書き初め)最初の並びと順番変わって判りにくい
○郡司穂香強制まんぐり〜バイブ責め(38分頃)
○郡司穂香チンポいじり(85分頃)
○郡司穂香パイずり(125分頃)
○郡司穂香フェラ(146分頃)※笑顔の横顔かわいいが、俯瞰顔はダメ
○郡司穂香フェラ(166分頃)※アオリ顔はまずまず、照明当てすぎ
○郡司穂香挿入(189分頃)※下だけ脱いで騎乗位

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■島耕作

●島耕作プロフィール
生年月日 1947(昭和22)09.09(乙女座/B型)
出身地 山口県岩国市
出身校 私立鷹水学園高校
出身校 早稲田大学法学部(1970年卒業)
資格 普通自動車免許
資格 実用英語技能検定1級
身長 177㎝
父親はサラリーマン
母親は呉服商
ひとりっ子
大学時代ESS
好きな食べ物 サラミ 
好きな食べ物 トリュフ
好きな食べ物 オリーブオイル
嫌いな食べ物 酸っぱいもの
ワインに詳しい
バリ島が好き
77年結婚、89年離婚(怜子)
12年再婚(島耕作65歳、大町久美子45歳)
長女 奈美(79年誕生)
孫 耕太郎(03年誕生)
*出典「島耕作クロニクル 連載30周年記念エディション」

●島耕作職歴
1970年4月 初芝電器産業株式会社入社
1970年11月 本社営業本部 販売助成部屋外広告課
1971年11月 本社営業本部 販売助成部制作課
1976年1月 本社営業本部 販売助成部制作課主任
1980年3月 本社営業本部 販売助成部制作課係長
1983年5月 本社営業本部 販売助成部宣伝課課長 *課長島耕作①
1985年1月 ハツシバアメリカ NY支社宣伝部 *課長島耕作①②
1986年1月 本社営業本部 販売助成部宣伝課課長 *課長島耕作③④
1987年5月 電熱器事業部 営業部宣伝助成課課長(京都)*課長島耕作④⑤  
1988年5月 本社営業本部 販売助成部ショールーム課課長 *課長島耕作⑥
1990年5月 フィリピンハツシバ マーケティングアドバイザー
1990年11月 本社営業本部販売助成部総合宣伝課課長
1992年2月 本社総合宣伝部部長
1999年1月 初芝電産貿易株式会社代表取締役専務(出向)
1999年9月 サンライトレコード株式会社代表取締役専務(出向)
2001年4月 本社市場調査室
2001年5月 福岡初芝販売センター代表取締役専務(出向)
2001年10月 福岡初芝販売センター代表取締役社長(出向)
2002年2月 本社取締役九州地区担当役員
2002年6月 本社取締役上海地区担当役員上海初芝電産董事長
2005年2月 本社常務取締役中国担当役員
2006年11月 本社専務取締役
2008年5月 初芝五洋ホールディングス株式会社代表取締役社長
2013年7月 TECOT代表取締役会長
2019年8月 TECOT相談役
2022年1月 TECOT相談役退任
2022年3月 株式会社島耕作事務所設立 UEMATSU塗装工業社外取締役
※2010年1月社名変更(初芝五洋ホールディングス→TECOT)
*出典Wikipedia

●課長047 I CAN’T GET STARTED
◯本社販売助成部ショールーム課に転任
・1年ぶりに本社販売助成部に戻ってくる
・中沢部長(強引な仕事の進め方、バカ明るい性格、カカカカカ)
・松本常務(営業本部長、若手役員の旗頭、宇佐美常務の後任、一応大泉副社長傘下)
・野中主任(ショールーム課、5歳年上の45歳、嫌味な性格)
・竹綱(ショールーム課、3年目の25歳)
・中川(ショールーム課、10年目の29歳、経理担当、多忙になると時々大泣き)
・大町久美子(1年目、20歳、この5月に配属されたばかり)
・野中から仕事のレクを受けるがダラダラと話すので頭に入ってこない
・大泉と話す、松本常務は東大で哲学をやっていたカタブツらしい、書棚にショーペンハウエル
・全国ショールーム所長会議、野中主任のコンパニオンとの私的飲み会請求書31万円
・中沢部長と銀座「のんのん」典子がママ、松本常務→典子(既に関係を持っている)
*本社営業本部 販売助成部ショールーム課課長
*モーニング88年25号掲載
*課長 島耕作 第6巻(1989)

●課長048 I’LL BE SEEING YOU
◯休日を娘と一緒に過ごす、大町久美子は仕事ができる
・東京に戻ってきて初めての休日、妻は今日も打ち合わせ、娘・奈美を預かる
・石神井公園で一緒にボート
・初芝のショールーム(接客態度が悪すぎるコンパニオン)
・ファミレス「ジョナサン」で食事、奈美「奈美のために一緒に暮らして」
・強引に誘われて奈美の部屋に行く、初めての女の部屋のように落ち着かない
・妻が電報堂・奥本と一緒に帰宅(奥本は部屋に入らずに帰る)
・大町久美子と一緒に渋谷のショールーム、紹介されてコンパニオン達に挨拶、
 陰口を叩くコンパニオンを久美子が一喝
・久美子「コンパニオンはたるんでいる」→いいセン行ってるな(60年代の若者言葉?)
・久美子に電車利用を提案される、こんな女と結婚したかった
※久美子と結婚するのは24年後の2012年
※第6巻は島以外の視点が増えて更なる長期シリーズ化の予感
*本社営業本部 販売助成部ショールーム課課長
*モーニング88年28号掲載
*課長 島耕作 第6巻(1989)

●課長049 I’M A FOOL TO WANT YOU(恋は愚かと言うけれど)
◯典子と松本常務の関係が大泉にバレる
・松本常務は恋の病い、免疫がなかった(中沢部長の憶測、カカカカ)
・だからあんた出世しないのよ(大町久美子→野中主任)
・松本常務、中沢部長と「のんのん」、松本が典子に土産を渡す(香水とゴルフボール) 
・大泉と松本が同じゴルフボールを使っている
・松本が典子にニーチェの話、典子「それなら最初から何も考えなきゃいいのに」
※松本常務のモノローグ(四角フキダシ)→島以外のキャラでは初使用?
*本社営業本部 販売助成部ショールーム課課長
*モーニング88年36号掲載
*課長 島耕作 第6巻(1989)

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■切断(2018=黒川博行)角川文庫 286頁 ※1989新潮社

初読。
大阪府警シリーズ第5作。
84年のデビュー作「二度のお別れ」から数えて多分7作目。

この時点での過去作を習作と呼びたくなるほど進化。
文章と展開がともに簡潔で、この時点での過去作には多少あった冗長な部分は殆どない。
疫病神シリーズおなじみの住居侵入、拉致監禁・脱出も登場。

時系列を変えて何度も登場するからには沢木は生きていて〈彼〉=沢木なのだろうと容易に想像できる。
警察側が沢木生存に気付く経緯は期待していた程ではなかった。
指のトリックは全く知識がなかったので感心させられたが、警察側はそういう可能性がある事は当然知っているのではないか、という疑問は残る。

実の妹以外の女性とはほぼ性的不能だった男が復讐の為に妹の死に関わった男数人を次々と殺す話。
最後の相手は自らを巻き添えにしているようだがここはノレない。
どんな目的の為であっても自ら死を選ぶ展開を僕は好まない。

人を殺した日だけは性的能力がちゃんと機能するので、復讐も兼ねて殺人を続けて、それが彼の中では妹に対する供養になっている。
妹の死に直接的に関わった連中を殺した後は間接的に関わった人間も殺す。
沢木がそれくらいイカれていて、なおかつ最後は生き延びてくれたら、もっと良かった。

ラストは不満だが、疫病神シリーズに繋がるテンポとハードボイルドなムードが出てきて、ぽんぽん話が進むので最初から最後まで飽きさせない。
なんの予備知識もなくこの本を読んだら「この作家の他の作品も読んでみよう」と充分に思えるレベル。

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■羽なしティンカー・ベル(1981=柳沢きみお)全3巻 kindle unlimited

授業中にいきなり教室を出て行った憧れの女子をどこまでも追いかけて行く。
主人公は高校3年生の優等生男子。
ここまで読んだ柳沢きみお作品の中で一番魅かれる出だし。

このまま学校にも家にも戻らずに、ずっーとふたりで過ごして、持ち出した100万円がなくなってどうする、という展開を期待したが、そうはならず、この家出をきっかけに真剣に自分の将来を考えて、ふたりとも普通の世間一般とは少し違う進路を目指す、という所に着地。例によって、いきなり唐突に終わる。

柳沢きみお作品では、主人公の高校生男子は本気で好きになった女性とはセックスには至らない傾向があるようだ。「翔んだカップル」のふたりがセックスするのは続編で大学生になってから。「Good Girl」は交際以前だったような。他の作品でも該当例があった気がするが思い出せない。

2巻33Pに藤波正平登場(スターシステム)。

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■20XX Tボール観戦記

 ものごころついた頃のジャイアンツのV9時代から見始めて、20代半ばで実況アナウンサーになって40年やって、その後もなんだかんだで野球に関わっているから、野球観戦歴70年ですよ。われながら随分長く野球を見てるけど、仕事に関わる前の約20年の方が、自分が子供だったせいなんですかね、思い出すと、なんだかとてもとても長く感じて、実況アナウンサーになってから今日までの約50年の方があっという間に過ぎた感じですね。
 テレビやネットの「プロ野球VS新野球」みたいな企画だと、いつもプロ野球側で呼ばれて「新野球なんて野球じゃない。野球に対する冒瀆だ」なんて言ってるけど、今年、個人事務所に移ったので言っちゃいますが、アレは完全なポジショントークで、実は新野球、いまは通称・Tボールですか、大好きです。始まった頃から見てます。ただ、球場に行って顔バレするといろいろ契約上面倒な事もあったんで、たまに帽子とサングラスで球場にも行ってましたが、基本はもっぱらVRで自宅観戦でした。
 新野球が始まった当初はバージョン15(1試合を15分にまとめたハイライト)をよく見てたけど、とにかく、当初から、このVR映像は凄かったですよね。カメラもフィールド内のあちこちにあって、鮮明で迫力あって。バックネット裏、内野席、外野席とどこでも自由に席を選べて、真上から見る視点とか、ベンチやブルペンを観察するカメラなんてのもあったりして。自動でも手動でも、視点の切替が実にスムーズで、初めて観た時は「おおっ」で声をあげちゃいましたよ。そうそう、捕手の頭に付けたカメラ、これも4KのVRで見ると、向かってくる球を避けたくなるくらいの迫力でね。それに比べて、当時のプロ野球の中継は、昭和の頃からあまり変わってないんじゃないか、っていう見せ方だったから、その違いに、本当にびっくりしました。プロ野球の方はVR導入も随分遅かったですよね、ええ、旧来のテレビ局との利権争い的なものがいろいろあったみたいですよ。
 でも、やっぱり、こうやってスタジアムに来て風を感じながら見るのはいいもんですね。
 Tボールの何がいいって、やっぱり、試合時間が短いのはいいですよ。最近はスタジアムの椅子も昔に比べて良くなりましたけど、それでも、私くらいの年齢になると、長く座ってると腰が疲れちゃいますから。いまはプロ野球もイニング中の交替原則禁止とか臨時代走とか臨時投手とか、Tボールのルールを取り入れてるけど、それでも、たいてい2時間半はかかるでしょう。こっちは、初球からどんどん打つのがむしろ当たり前、初球の真ん中付近のストレート系の球を見逃すと時にはブーイングが起きるくらいで、長くても1時間半、ぽんぽん進めば1時間くらいで終わったりしますからね。  
 バッターが全員DHでアメフトみたい、もはや野球ではないという意見は古い野球ファンからよく聞きます。たしかに、その通りだけど、チームスポーツはいっさい選手交代なしというルールがずっと続いているならいざしらず、いまはサッカーも4クォーター全く別のチームでもOKでしょ。どんなスポーツも時代とともに変わっていくんですよ。
 野球というスポーツの一番の特長は、チームスポーツでありながら、プレイの基本は投手と打者の1対1という部分にあるわけで、良い投手と良い打者の対決が毎イニング見られるこっちの方が、野球の醍醐味をたくさん味わえる、とも言えるわけです。
 むかしは、試合前の練習から見て、ビール飲みながらのんびり試合を見て、途中で通路をぐるぐる回ったりして、5時間くらい球場で過ごすなんて事をよくしてたんですが。ええ、50年以上前、昭和の終わりか、平成の始め頃、まだネットがテキストデータのやりとり程度だった時代。あの事は、若かったからなんですかねえ、だらだら長時間野球を見るのが全然苦にならなかったんだけど、なんでしょう、時代の変化なんでしょうねえ。なんでも濃縮して短いのが良いっていう流行に、私もすっかり染まってきてますね。
 最近はテレビだって、遂に民放も1局になっちゃったけど、録画番組はたいてい15分ですもんね。YouTubeは長くて15分か、だらだらとLIVEで何時間も流しっぱなしにするやつの二極化してるけど、テレビもそうなっちゃったねえ。作り込んだ15分か、だらだらのLIVE。だらだらのLIVEは結構つけっぱなしにして流してますよ、軽い原稿なんか書く時に。作り込んだ15分番組の方はいまはYouTubeでも公開してるでしょ、なんか区別なく、見てますね。
 いまでも、プロ野球も見てますよ。見てるというか、普通のだらだらのLIVE番組と同じ感覚で、大きなスクリーンに流しておいて、チャンスの時に通知が来るようにして、いろいろ他の事をしながら、チャンスの時だけ真剣に見る、っていう見方。子供の頃にテレビにかじりつくようにして見ていられたのは、結局、それしか生中継のスポーツがなかったからなんですよ。いまは野球だけだって、従来のプロ野球8試合に、こっちの野球8試合に、独立リーグの試合もバンバンやってるでしょ。サッカーやバスケのチームも増えたし、スポーツ以外にも配信で無限に見るものがあるし、いやあ、ホントに凄い時代になりましたよ。いまの若い人にとってはこれが当たり前なんだろうけど、ビデオさえなかった昭和を生きていた私からすれば信じられないですね。
 こっちの実況中継って、メインはDJ風で、サブはOBやファン応援モードか対決モードだったんですけど、今度、実験的に、あえて昭和の野球実況風、ってのをやるんです。
 ええ、それの実況を担当させて貰う事になりまして。
 いまから楽しみですよ。こっちの三振やウォークのルールだってちゃんと判ってますから。ツーボール、ツーストライクでフルカウント、スリーボールでウォーク、アフターツーストライクのスリーファウルでファウルアウト、でしょ。ばっちり入ってますよ。
 ただ、テンポがね、昭和の頃だと、「ピッチャーだれそれ……ゆっくりと振りかぶって……第一球を……投げました……ストライク……ボールカウント2ボール1ストライク」って感じだったけど、こっちの野球は、みんなセットで、どんどん投げて、ロボット審判だからミットに入った瞬間に判定されるでしょ。さっきみたいなテンポで喋ってたら、下手したら、3球くらい投げちゃいますから、今日も、さっきから、どこを端折って実況するか、考えながら見てますよ。
 話すテンポは当時のテンポでやるつもりなんで、ピッチャー第1球、だけですかね、投げる時に言えるのは。いやあ、いまから楽しみですよ、当日が。
 ああ、なんて話しているうちに、前半3イニングが終わっちゃいましたね。今日の試合は両チーム、いつもにも増してテンポが良かったから30分ちょっとで終わっちゃいましたね。
 これくらいだと腰もそんなに痛くないけど、せっかく15分ハーフタイムなのでぐるっと回ってきますよ。

【続?】

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■20XX CEO星野の話
※無駄に過激な性的描写閲覧注意(R18)

「僕は、てっきり、星野さんは、もともとめちゃくちゃ野球に詳しい人で、いろんな斬新なルールも星野さんが考案したのかと思ってました」
「一応めちゃくちゃ詳しい事は詳しいですよ。子供の頃からずっと自分でもやってたし、スコアブックつけながら野球みてたし」
「でも、さっきの話だと、星野さんは、Tボールの最高責任者、というわけではないって事ですか?」
「肩書は一応最高責任者ですよ」
 私は、こめかみに装着したスマートチップによる脳波コントロールで、私の〈ビジネスカード〉を、横にいる男にsend、男も(多分自動的に)自身の〈ビジネスカード〉をsend backする。
 お互いのスマートグラスの暫定共有レイヤーに、双方の名前と肩書が表示される。
 星野玲架 T-BALL CEO hoshino reika
 尾端和生 ULTIMATE Publishment EDITOR obata kazuki
 この男・尾端和生の職業は、絶滅まじかの恐竜のような存在の旧来の出版社編集員。殆どの人間がコンテンツを紙で読まなくなって久しく、実際に手で持って触れる事ができる紙の本で読みたい、という愛好家の為に、紙の本はオーダー制になり、最近は文庫本1冊の値段は数万円と言われている。数年前に、最後まで残っていた大手三社だか四社だかが合併してULTIMATE Publishmentという社名になった時に、社員もユーザーも高齢者ばかりの、高齢者の高齢者による高齢者の為の会社なのだろう、と想像したが、こんな若い社員もいるのか。
 この〈ビジネスカード〉をクリックする事で、尾端が許している限りの個人情報を閲覧できるが、私は、目の前に実物がいる時は、肉眼で見て、自分の鼻で匂いを嗅ぎ、直感で人物を想像する事にしている。尾端は推定年齢は35歳〜40歳。自己主張の薄そうな顔で細身の体型で育ちだけはよさそうな雰囲気。多分伝統的なコネ入社。いじめがいはありそう。多分〈オープン〉になっていた私をスマートグラスに認めて、なかば取材のつもりで声をかけてきたのだろうが、私はいつもの〈狩り〉のつもり。当分の間、この尾端に集中する為にダイレクトコンタクトモードを〈クローズ〉に設定する。

(注1)
〈オープン〉は誰でも声かけ可のステータス、
〈セミオープン〉はつながりがある人のみ、
〈クローズ〉は緊急時以外は声かけNG

「2ストライク後のファウル3本でファウルアウトとか、守備と打者の完全分業とか、Tボールの独特のルールは私が決めました、みたいな発言を、星野さんがよくしている印象があるんですけど……」
 中規模の広さの薄暗いバーのカウンター、それなりの音量で音楽がかかっているが、尾端の声は大きすぎず小さすぎす、なんだか耳に心地よい。泣かせがいがありそうな声。
「Tボールを代表して、そんな風に聞こえるように言っている事もあったかもしれないけど、最終決定をする責任者ではないんです」
「例えば、ウチの会社は、社長がいて、専務とか、常務とか、社外取締役とかいろいろいて、いろんな意見が出てモメた時は最終的には社長が決める、っていう事になってるんですが、Tボールの場合は、何かを決定した時に最後のハンコを押す、あ、いまは印鑑アプリを署名欄に刻するって言うんでしたっけ、それをするのは、実は星野さんではないって事なんですか?」
 どうやらこの男の頭の中は、依然として旧来の考え方、すなわち、会社組織というモノは必ずピラミッド構造になっていて、代表者と呼ばれるような存在の人がいる、という50年の古い固定概念で固まっているらしい。
「ウチの場合は、8人のメンバーのシニアメンバーミーテイングで、ひとつひとつのテーマに関して、その場で、【賛成】【反対】【保留】のどれかを選ぶんです」
「8人? 賛成と反対が同数の場合はどうなるんですか?」
「その場合はシステム案件になります」
「システム案件? システムってなんですか?」
「そこは私もよくわからないんですが、アプリの表記がそうなっているんです」
「アプリの表記?」
「例えば、賛成3反対3保留2で同数の場合は【システムがGOと判断しました】みたいな感じで表示されて、システム案件でGOになるんです」
「話を素直に受け取ると、まるで、システムに最終決定権があるように聞こえますね」
「私もそう思います」
「でも、アプリにせよシステムにせよ、要は、一種のコンピュータープログラムですよね。それの責任者が誰なんですか?」
「それは私にもよく判らないですね。多分、シニアメンバーの他の7人も知らないと思います」
「つまり、アプリやシステムに関わる人がどこかにいて、その人は全然表に出てこない?」
「いまはだいたいどこでもそうなんじゃないんですか?」
「最終的にシステム案件になる、というスキームを、誰が作ったのか、気になりませんか? その人が実質的なナンバーワンじゃないんですか?」
「現状うまくまわってるから別にいいんじゃない、って感じですね」
「なんだか、ほとんど大学のサークルみたいなノリに聞こえますが……」
「最近はこういうの増えてるみたいですよ」
「御社のシステムの最初の立ち上げに関して、調べてみたくなりましたけど、星野さんがよく判らない、って言う事は、多分、社外秘なんでしょうね」
「どうなのかしら。私の場合は、判らないって言うより、気にしてないだけですけど。いま私が話した事よりもっと詳しい話も、しかるべき手続きで誰でも見られますよ」
「しかるべき手続き、といいますと?」
「OMNICのあるレベルの会員なら見られる筈です」
「OMNICって、巷で噂の、怪しいフリーミアムなアレですか? TボールってOMNICが絡んでるんすか?」
「絡んでいるかどうかはよく判らないですけど、OMNICのアプリと連携してるのは確かですね」
 尾端は、例によって、OMNICに偏見を持っているようだが、なんだかんだ軽くジャブを撃ち合って、酒の酔いもあったのか、約2時間後には私の提案に同意して、すぐ近くのOMNICのボックスのSタイプ(ダブルベッド)に移動する。
「そんなに言うなら取材も兼ねて行ってみたいですね」
などと、仕事の延長線上という格好をつけているが、その内心は私のカラダに対する欲望で満ち満ちているのは、百戦錬磨の私の目には見え見えだ。私はギラギラの欲望丸出しで直球で口説いてくるような男は一切お断り。若い頃は何事も経験と思ってそういうタイプの男とも遊んでみたが、高い確率で自分中心のベッドマナーで、私の性癖には合わなかった。自分の性癖をはっきり自覚したのは20代後半になってからだった。
「たしかに、豪華なカプセルホテルのような感じですね」
「本当に一度も利用した事ないの?」
「ええ、そもそも、OMNICじたい、使ってないんです。ここを使ったからって、強烈に勧誘されたりしないですよね」
「ひょっとして、尾端さん、OMNICは怪しい新興宗教みたいなモノだって思ってます? 暴露系雑誌の伝統を受け継ぐ怪しいニュースメディアの読みすぎですよ」
「星野さんみたいに素敵な人が、普通に使ってるなら、そんな事ないのかなあ」
 スマートグラスでNetTubeに指示を念じると、夜のSEXYなJAZZの耽美的な映像が壁一面のスクリーンに投影されて、四方の壁面に内蔵されたスピーカーからサラウンド音声が適度な音量で響く。
 この部屋のロック解除と同時に、この部屋の全デバイスは自動的に私のアカウントに同期されるので、操作の手軽さは自宅にいる時と同じ。念じるだけ。このボックスは超高度な遮音性を誇るのでこの音が隣室や廊下に漏れる事もない。最近は自宅は持たずに世界各地のボックスを延々移動している人も多くいると聞く。私もやろうと思えばそんな生活も充分可能。靴を集める趣味さえやめてしまえば。
 コンパクトなコンテナルームの半分はダブルベッド、ベッドの横に小さな冷蔵庫、その横には小さなデスクとチェア、ベッドの足元側のふたつのドアはシャワールームとトイレット。ふたりで親密なラブタイムを過ごすだけならこのボックスでも充分。このビル全体がOMNICのトータルファシリティになっていて、寝室・プライベートスペースである〈ボックス〉が並ぶフロアとは別のフロアに、ファミレス、コンビニ、大浴場、サウナ、メディカルセンター、シアター、ボウリング場、ゲームランド、などなんでも揃っている。各ボックスは、壁面に簡単にベッドを収容して、ミニシアターやカラオケルームとして利用する事もできる。こんな便利な施設を一度も利用した事がないという尾端は、やはり、旧世代の遺産を受け継ぐなかなかのおぼっちゃんなのだろう。
 私は冷蔵庫から出したレモンサワーを有機カップに注ぎ、例のリキッドを数滴落とした。
「いま、なんか入れましたよね? なんですか?」
「ちょっと気分がアガる例のアレですよ。私はいつもこういう時に少し入れてるんですが、お嫌いですか?」
「え、いや、あの……」
 どうやら尾端は例のアレも使った事がないようだ。
「全然大丈夫ですよ」
 私は自分の分を一気に飲み、ボトルからレモンサワーのおかわりを注いで、例のリキッドを再び数滴のつもりがドボドボと少し多めに入れてしまった。
「レモンサワー、嫌いですか?」
「いや、そんな事はないんですけど」
「じゃあ、飲みましょう。乾杯!」
 私は、この2杯目はゆっくり飲んだ方がいい、と頭では思いながら、1杯目の例のアレが効いてきた事もあって、つい、一気に飲んでしまった。尾端はまるで高い日本酒を飲むように、舐めるように、やっと1/3程度を飲んだ所。
「尾端さん、何をそんなにちびちび飲んでるんですか……判りました。私が飲ませてあげます」
「え?」
 私は尾端のカップを奪って口に含み、尾端の顔を両手ではさんで上を向かせて、尾端の口内に口移しで一気にレモンサワーを流し入れた。ごくごくと尾端の喉を例のアレを含んだ液体が通過する振動を手のひらと唇で感じつつ、舌を差し入れて尾端の口腔をねぶりまわすと、例のアレが効いてきたのか、尾端の舌は次第に大胆に私の舌の動きに呼応して、時に主導権を奪おうとしてくる。
 私は、いきなり、尾端をベッドに強く押し倒した。
「てめー、なに勝手に応じてんだよ」
「え? 星野さん?」
「玲架様って呼べ」
 2杯目にちょっと多めに入れたせいで早めにスイッチが入ってしまった。
「どうせお前は親のスネをかじって大きくなって、親のコネでいまどき出版社なんかに入って、いいトシして、ひとりじゃなんにも決められない、そのくせ、性欲だけはひと一倍ある、あやつりこけし野郎なんだろ、コノヤロー」
 多分人生でこんな言葉を浴びせられたのは初めてなのだろう。全裸になった尾端の薄い胸板の体は小刻みに震えるが、私が凝視するその部分は、私が声を荒げる度にぴくんと反応してはその体積を増していく。こいつは久々に出会う本物の天性のマゾ体質だ。
「本当ならちょっとづつだけど、明日は朝から会議だから今日は特別に特急コースを味あわせてやる。いいか。私の命令には絶対服従だ。わかったな? 返事は? よし、そこに仰向けになって口を開けて舌を出せ。特別にお前の顔にまたがってやるから、その貧相な舌で私を綺麗に掃除するんだ。バカヤロー。いきなりそっちが貰えるとでも思ったのか、温室モヤシ野郎が。まずはこっちの穴、さっきウンコした後でウォシュレットをかる〜くにしておいてやったから、まだ何か残っているかもしれないぞ、さあよく舐めろ。どうだ。なんか匂うか、正直に言え」
「ちょっとだけ臭いです」
「よし、正直に言ったからほうびをやる」
 既に屹立している部分の先端をデコピンの要領で人差し指の爪で強く弾く。
 尾端は私の後門を舐めながら「うぇっ」と声にならないような声を漏らす。
「もっと舐めろ。舌先を突っ込め。どうだ。味は。正直に言え」
「ちょっとだけ苦いです」
「テメーは正直バカか。その正直さに免じてちょっとだけほうびをやる。こっちを舐めろ」
 股間の前の方を舐められるように腰の位置を少しずらし、尾端の顔におもいっきり座るような勢いで体重をかけた。ほんのわずかなすきまから呼吸する熱を帯びた鼻息が後門にダイレクトに当たる。ほぼ密着して自由に動けない尾端の舌が小動物の末期の抵抗のように微妙に動き、私の陰核を探り当てるやいなや、私は腰を上げた。尾端の唾液と私の愛液が細い透明な糸をひく。
「よし、今度はよつんばいになれ。そう。肘をついて脚を開いてもっと腰をつきあげろ。よし。何があってもその体勢をキープだ。判ったな。何をびくついてるんだ。ただの潤滑ゼリーだよ。オメー、ここにコレをこうやって塗られるの初めてなのか? 大丈夫だよ。こっちも鬼や悪魔じゃねーんだから、ちゃんと優しくしてやるよ。おら、もっとちから抜けよ。どうだ、コレをこうすると、気持ちいいか? 気持ちいいなら、気持ちいい、って言ってみろ」
 感心な事にその周囲を脱毛している後門にたっぷりゼリーを塗り込んで、バイブの先端を押し当てて振動をONにすると尾端は「気持ちいい、です……」と10代の女性が初めての性的行為で漏らすような声で囁いた。ゼリーをつけた指先が後門に触れた瞬間はこわばっていた身体は、バイブの刺激でどんどん弛緩していく。ゆっくりバイブの先端部分を差し入れて行くとほんの一瞬の抵抗感の後はつぅるんと入っていく。この一瞬の抵抗感は、男性が普通に女性に入れる時に感じるそれと近いものがあるのでないかと想像して興奮する。そのまま何度かゆっくり出し入れすると尾端は再びせつなそうな声を漏らした。
「よし。オメーは顔に似合わず正直だから、今夜は極上のごほうびを与えてやる。どうだ。気持ちいいか。どんだけ気持ちよくなってもいいが、私が「出していい」って言うまでは絶対出すなよ。判ったな? 返事は? 」
 右手でバイブを動かしながら左手で竿を握り、後門と玊袋の裏側辺りに息を吹きかけると、尾端のそれはたちまち硬度を増し、握った左手で数回往復させると、尾端はせつなそうな声をかすかに漏らす。
「なんだって、もう出そう、だと? ふざけんなよ。オメーは10代の童貞か。おら。どうだ。出したくてもでねーだろ?」
 左手で尾端竿の根本部分を強く握り締めた。
「っあっ……そんなに強く握られると……あっ……痛い」
「痛いだけか?」
 振動強度を「強」に変えたバイブを前立腺近辺に当たるように角度を変えて、玊袋の裏側と後門の間あたりを人差し指で撫でて、握った手を緩める。
「っんっ……っあっ……お願いです……こっちも」
「こっちってどこだよ」
「星野さんの左手……」
「玲架様だろ」
 私が左手を添えている尾端の竿の部分はぷるぷると細かく震えている。
「玲架様の左手で……もっと」
「もっとなんだよ?」」
「左手で、もっと、下さい」
「テメーは編集者だろ。ちゃんと伝わるように正確に言ってみろよ」
「僕の、そこを、触って下さい」
「いまだって触ってるよ。テメー、これじゃ足りないって言うのか?」
「もう少し、ゆるめに握って、動かして……」
「こんなに勃起している僕の欲棒をしごいて下さい。言ってみろよ」
「こんなに勃起している僕の欲棒をしごいて下さい」
「テメーは人に言われた事しか言えねーのかよ! 」
 私の荒げた声に判りやすく全身でビクっとさせたのを認めると、私は尾端の欲棒を握し直して高速で往復させ、右手で玉袋の裏側をさわさわと刺激する。後門にささったバイブは与えられた役目に忠実に律儀に振動を与え続ける。たちまち尾端の欲棒は更に怒張する。
「もうムリです。出ちゃいます」
「まだだ」
「ホントにムリです」
「まだ我慢しろ」
 強めに握った左手で往復運動を与えつつ、右手の指先に残るゼリーと欲棒の先端部分から漏れている透明な液体をこねて混ぜあわせて張り詰めた先端部分をなでまわし、指先で繊細に先端の頂上部分の辺りを刺激する。
 尾端は「すみません」を連呼しながら、激しく精を放つ。
 その勢いを指先に感じると、なんとも言えない性的充足感が、今夜も、どこからともなく湧いてくる。
 愛撫を受けている時や挿入されている時の充足感とは全く違う種類の充足感。
 アプリではなくこうやって実際に偶然出会った人を自分で判断してプレイに持ち込む方が断然達成感が強い。アプリを使ってお互いの性癖が一致している事が判っている相手に会うのは、てっとり早く欲望を満たす手段として確実ではあるが、驚きやときめきがない。お互いの限界もアプリに登録済みなのでスムーズに物事が進むのが逆に味気なく、マスターベーションをお互いに手伝っているような感覚になる。
 30代半ばを過ぎてからは尾端のような男を相手にこうやっていじめる方が、普通のセックスをするより他楽しくなった。普通のセックスはもう随分長い間していない。アプリを使えばいつでも出会っていつでもできると思うと、逆に普通のセックスはしなくなった。
 リアルで出会って「この先どうなるんだろう?」というドキドキ感を、その瞬間に楽しむ方が私にはあっている。私は、全裸で仰向けで寝てしまった尾端を残してボックスを出て「今日はありがとうございました。取材の件はまた改めてご連絡下さい」とテキストを尾端にsendした。
 同じ部屋に誰かがいると眠れない事が多いので、歩きながらスマートグラスの脳波操作で近場の別の最小タイプのボックス、昔のカプセルホテルのように小さいベッドだけのタイプを予約して、もう1杯だけどこかで飲んで行こうか、と考えながら夜の繁華街を歩き続けた。【了】

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■フォーエバー・ワンナイトラブ(ミニドラマシナリオ)

○登場人物
深雪(29)………明日結婚式を挙げる予定
有沙(29)………深雪の友人
圭輔(32)………深雪の婚約者
ヒロシ(24)……出張ストリッパー
その他(弥生の友人数名)

1 リゾートホテルのスイートルーム

薄暗い照明。
ビートの効いた音楽が流れている。
部屋の中央で端正で中性的な顔立ちのヒロシ(24)、セクシーなダンスを踊っている。
ヒロシの正面のソファの中央に座っている深雪(29)、複雑な表情でヒロシを見る。
深雪と目が合うと完璧な力強い笑顔で微笑むヒロシ。
目を伏せる深雪。
深雪の隣で有沙(29)は興味津々な表情でヒロシをガン見している。
その周りに着飾った女性が数人。
ヒロシが上半身のシャツのボタンを外しながら女性たちに近づいて来る。
友人A「(わざとらしく)きゃー」
友人B「もっと脱げー」

深雪が有沙の耳元で何かを囁く。
有沙「(深雪に)え、なに? なにがムリだって?」
深雪「だから、誓いの言葉。明日の」
有沙「いまは言わないで、明日の事なんか。有沙がアメリカ映画のバチュラーパーティーのおんな版をやりたいっていうから、折角こんなのまで呼んだんだから、楽しもうよ。こんなの一生いちだよ?」
深雪「私は有沙みたいになれない。神様の前で永遠の愛なんて誓えない……そんなの嘘だもん」
有沙「……だからあんまり飲み過ぎるなって言ったのに」

上半身裸になったヒロシ、女性たちに背を向けてゆっくりとレザーパンツを脱いでいく。

2 同・隣の部屋

有沙が深雪の手をひいて隣の部屋に移動する。
深雪「いま、はっきり判った。私にはムリ。有沙たちみたいにずーっとラブラブなんて、私には絶対ムリ。だって、今もドキドキしてるんだもん、ヒロシくんと目が合って」
有沙「ヒロシって誰?」
深雪「そこ(隣の部屋の方を指差して)で踊ってるコ。ヒロシです、って。最初に」
有沙「名前なんか聞いちゃいなかったわ」
深雪「きっと私、またすぐに他の誰かを好きになっちゃう」
有沙「なればいいじゃん」
深雪「だから、あした、みんなと神様の前で誓うとかムリ、永遠の愛とか……」
有沙「じゃ、やめとく? 今ならまだ間に合うよ」
深雪「ちょっと!」
有沙「ちょっと?」
深雪「一応説得してよ」
有沙「うわ、めんどくさいわー。いい年して」
深雪「有沙はいいわよ……初恋の人と十年つきあって結婚して今でもラブラブなんだから」
有沙「はぁ?」
深雪「どうせ私は三十手前の滑り込み婚だよ。だから明日の今夜になってこんな風にフラフラして……」
有沙「それは判った」
深雪「圭輔には悪いけど、何があっても永遠に愛します、なんて、そんなウソつけない」
有沙「ウソ?」
深雪「有沙は十年つきあって、確信があって、本当にそう思ってたから言えたんだよ。私はムリ」
有沙「いやー、どーだったかねー」
深雪「あの時の有沙は絶対確信持ってた。だから泣いてたんでしょ」
有沙「いやいや、あの時のアレは、何て言うか、そういうんじゃなくって、もし本当に永遠に愛する事ができたら素敵だなーって思ったら、なんか自分で自分に感動して泣けたっつーか……とにかくさー、ウソとかホントとかいいじゃん別に。単なる儀式なんだから」
深雪「よくない。ホントに永遠って思える人じゃないと永遠なんて言いたくない。有沙には判んないよ(と、背を向けて有沙から離れる)」
有沙「(しばらく深雪の後ろ姿を見て)ホントめんどくさい子だよ、いくつになっても(と部屋を出ていく)」
ひとりで立っている深雪。
そこにヒロシが入ってくる。身につけているのはボクサーショーツ一枚。
ヒロシ「深雪さん?」
深雪「(反射的に頷く)」
ヒロシ「ヒロシです(いかにもな満面の笑顔で)」
深雪「ヒロシくん、凄いね、カラダ」
ヒロシ「一応鍛えてます。商売道具だから」
と、腹筋をへこませて胸筋を際立たせるポーズを取り、
ヒロシ「……触ってみます?」
深雪「うん」
深雪、ヒロシの胸筋にそっと触れる。
ヒロシ「(深雪を抱き寄せて耳元に囁く)もしよろしければスペシャルサービスの方も用意してますので……」
深雪、ヒロシを見上げる。神々しいばかりに輝く隙のない笑顔。
友人Aの声「深雪ー、主役がいつまでひっこんでんのー」
深雪「私、ちょっと……」
と、カラダを離して、バスルームに入る。
ヒロシ、友人たちがいる部屋に戻る。

3 同・バスルーム

バスルームの鏡に映っている深雪の上気した顔。
ポーチから化粧品を取り出して顔を直す。

深雪の声「スペシャルサービスっていくらなんだろ。値段訊いときゃよかった。ペイペイとか使えるのかなー、現金いくら持ってたかなー」
もうひとりの深雪の声「なに考えてるの深雪。こういうワンナイトラブを卒業して結婚するって決めたんでしょ。こんな事しててもおんなじ事のくり返しで、そのうち誰からも相手にされなくなるんだから」
深雪、念入りに化粧直しを続ける。
深雪の声「ヒロシくんチョーかっこいいじゃん。いまこの瞬間の私はヒロシくんに抱かれたいって思ってる。この気持ちは間違いなくウソじゃない」
もうひとりの深雪の声「じゃ圭輔はどうなるの。結婚をやめて別れるつもり?」
深雪の声「嫌いじゃないよ。唯一まじめにプロポーズしてくれた人だし。でもずっと好きでいられるかって言うとやっぱりムリだと思うんだよねー」
もうひとりの深雪の声「……本当にそれでいいの?」

4 同・メインルーム

深雪、メインルームに戻ってきて部屋を見まわす。
片隅にヒロシと友人A、友人Bがいる。
深雪、歩を止めてヒロシたちの様子を伺う。

ヒロシの胸に触れる友人A。
ヒロシが友人Aを抱き寄せて耳元に何かを囁く。
友人A、笑いながらヒロシに何かを言い返してヒロシの股間に触れる。
嬌声をあげる友人B。
ヒロシ、友人Bの耳元に何かを囁く。
友人Bがヒロシの首に手をまわしてヒロシが友人Bにキスをする。

深雪、ヒロシと友人A友人Bを呆然と見ている。
深雪と目が合うとヒロシは完璧な力強い笑顔で微笑む。

有沙「あーいたいた。ちょっと来て」
と、深雪の手を引っ張ってフロントドアの方へ連れて行く。

————————— 5 同・廊下

ドアの外に照れ笑いを浮かべたような表情の圭輔(32)が立っている。
深雪「(圭輔に気付いて)!…………」
有沙「なんかさー、いたたまれなくなって出て来たんだってさ、ストリッパーのおねえさんが登場したら」
圭輔「そこまで大袈裟じゃないんだけど、映画で観るのと実際は大違いっていうか、いざ自分がってなるとどうも……」
有沙「私、ホントはこういう事するキャラじゃないんだけどさー、一応紹介した手前」
圭輔「ひとりで中庭で星見てたら有沙から連絡来て、とにかく来いっていうから、とりあえず来たけど……なんかトラブル?」
深雪「…………」
有沙「深雪」
深雪「…………」
有沙「いまどう思ってるの。いまこの瞬間。逆に毎違いなく嫌いになるって確信がある?」
深雪「(圭輔を見る)」
圭輔「(照れたような笑顔で一瞬深雪を見て目を伏せ、もう一度伺うように深雪を見る)」
有沙「永遠に愛せるか、なんてさ、誰にも判んないって。私だって十年つきあっても判らなかったよ、将来なんて。でも結婚式のあの瞬間、あの瞬間に好きだった。それはホント。深雪も、もし、いまこの瞬間、嫌いじゃない、別れたくないと思えるなら、〈いま〉を続ければいいじゃん、なるべく長く。そんな先の事なんか考えないで。みんなそんモンだって」
深雪が振り向くとメインルームの片隅でヒロシ、友人A、友人Bがじゃれあっている。
じゃれあう中に一瞬深雪の姿が見えて消える。
深雪「(手を差し出して圭輔の手を握って)ちょっと歩こう」
圭輔「あ、うん。さっきの〈嫌いになる〉って、なんの話?」
深雪「星、綺麗だった?」
圭輔「なんか特別綺麗に見えたけど……それより……」
深雪と圭輔、手を繋いで長い廊下を歩いて行く。
有沙、微妙な表情でふたりの後ろ姿を見つめる。
長い廊下の遙か向こうの深雪と圭輔の後ろ姿、次第に薄暗い照明にまぎれて曖昧になっていく。

【了】

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■1985年日記(19歳〜20歳、大学1〜2年)
※当時の手書きの日記から
※原則として文言そのまま

●1985.01.21(月)
○腹痛。どういう格好で寝ても痛い。
常盤台外科病院に着いてしばらくすると痛み収まる。
診断は虫垂炎。手術を勧められるが1日だけ伸ばして貰う。
「破裂するかもしれない」と言われる(おどかし?)。
○「じゃんぼ」の生姜焼定食残す。
○22:00頃S浦から電話約1時間。

●1985.01.22(火)
○仏1テスト。
○日大付属板橋病院。「痛みがなければ大丈夫」と言われる。

●1985.01.23(水)
○和田誠「シネマッド・ティーパーティー」読む。
○U野来る。
○家庭教師サボる。
○S木sanと電話。機材のこと。Kchanは退院したらしい。

●1985.01.24(木)くもり
○15:00頃起床。ノドがつーれつに痛い。熱はない。依然として下腹が張っている。
○16:00頃S子chanに電話。政治学のお話など。
○ビデオで「黄色いリボン」途中まで。

●1985.01.25(金)
○政治学ほか2教科。※テスト?
○家庭教師。
○U野、S浦から電話。

●1985.01.26(土)
○社会学テスト。
○スカラ座で「愛・旅立ち」。

●1985.01.27(日)
○Kchanに電話。STAFF快諾。4日は専門の試験。

●1985.01.28(月)
○体だるい、微熱。キリ倫ほかテスト受けず。
○日程、段取りなど考える。1/31・2/2・2/4・2/6撮影予定(2/6は予備日)。

●1985.01.29(火)
○昨夜から徹夜して経済学。
○ハンズ。にっかつ。
○M浦と電話。

●1985.01.30(水)
○家庭教師。
○麻雀+67(M浦+3/S浦-14/N口-56)
○タモリのオールナイトニッポン、「明菜ちゃんは怒ってるんだぞー!」「泣くことはないだろう」

●1985.01.31(木)
○自主映画「Birthday」撮入。
”ボケーっとTVを見ている”シーンからスタート。
14:00までに18カットのつもりだったが1時間オーバー。
Kchanはまだ少し風邪気味。撮影中、サ店でも、苦しそうだった。
Mchanが来ると現場が明るくなる。
○「鈴」ハムピラフ500円ミックスジュース420円。結構疲れていて全然食欲なし。
○S木sanA谷san合流して19:00頃まで撮影。
○今日のスタッフ
昼 照明/M保chan 記録/Kchan
夜 照明/K平 記録/M保chan Kchan 
○ケンタッキーでマイパックとコーラ(540円)。

●1985.02.01(金)はれ
○昨夜21:30頃から7:00まで寝る。
○にっかつ早番。
○体がだるい。「ユンケル」は高い(1500円)ので「リポD」でガマン。
○S浦、K平、S子chan、Kchan、M保chan電話。
S子chanは明日〜8日今治、尾道に寄る。
コンパニオンのバイトは倍率10倍で無理っぽい、とか。
Kchanは今日ミノルタのバイトの面接(写真部関連)。

●1985.02.02(土)
○家庭教師。にっかつナイト。

●1985.02.03(日)
○Tsan撮影(O田M保chan、F床san、G藤san)。
○M浦、S浦、U野、M保chan、Kchan、M子san、S木sanと電話。

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■2025年日記

●2025.01.20(月)はれ
○上の公園で少し陽を浴びてガーデンプレイス。
時間に余裕があったので39Fに登るが富士山方面は完全にくもっている。
○敵(2023=吉田大八)103分
現実と妄想が錯綜する変な映画(ホメ言葉)。
なぜか観ていて飽きない。
平日の空いている映画館で映画を観るのはそれ自体が相当楽しい。
○夕食はタコ公園そばの「つなぎ」で味噌ラーメン。独特な美味のスープを飲み干す。
○夜食はガーリックおにぎり2個、捻り上げ、ポンスケ、焼酎2杯、水割り2杯。

●2025.01.21(火)はれ
○テニスと相撲見ながらゆるゆると作業。
U-NEXTと島耕作、3月掲載予定分まで終了。
○夕食は焼鳥缶詰、冷奴、キムチ、インスタント味噌汁、ごはん2個、オニオンリングスナック。
○食後、テニスつけたままウトウト。ĐokovićがAlcarazに勝利。
○夜食はレンチンうどん、ゆでたまご、ポンスケ、焼酎2杯。

●2025.01.22(水)はれ
○午後、いつものルートでガーデンプレイスから駅周辺を散歩。
まだ入ったった事がない飲食店に入ってみようかと思うが相撲とテニスが後ろ髪をひかれて帰る。
半袖エアリズム+長袖ヒートテック+長袖シャツにアウターで汗びっしょり。
○夕方、あんぱん、たまごうどん(レンジ)。
○夕食は鶏胸肉、ブロッコリー、納豆、キムチ、味噌汁、ごはん、焼酎お湯割り。
○夜食は温奴、ゆでたまご、レンチンうどん、焼酎3杯。
○小さなモニターで見てもあれだけ砂が飛んで相当高く砂が盛り上がっているのに「何が起こっているか判りませんでした」と他人事のようにしれっと発言できるアナウンサーはスポーツの実況中継に向いていない。
相撲の実況中継で一番必要なのは目を皿のようにして土俵を凝視して、砂が飛ぶ瞬間を見逃さない事。
前相撲からやりなおす事をお勧めする。

●2025.01.23(木)はれ
○午後、近所散歩。文庫本1冊返却。ドラクエウォーク3ヵ所。「一福」でうどん480円。ユニクロでヒートテック長袖1290円。atre無印でバスタオル990円。ピーコックでフェイスタオルと食料少々。
○半袖エアリズム+長袖ヒートテック+ジップアップパーカーと薄手ダウンで途中からかなり汗、店内暖房効きすぎ。
○夕食はカップそば+コロッケ、キムチ、ごはん1個、チーズ、金麦。
○夜食はコロッケ2個、温奴、ゆでたまご、焼酎2杯。
○カタカナ表記は定まってないケースや時代によって変わるケースがあるので今後は基本的に英語表記にする。
※デイヴィッド・リンチ/デヴィッド・リンチ/デビッド・リンチ
○ここ数日の僕の視聴傾向を分析すればこの時間は100%大相撲と全豪オープンを選択していると判断する事は容易。
相撲とテニスとイメージしただけでモニタの電源が自動でついて放送(生配信)が映るのは難しいとしても、FireTVstickと各配信アプリがデータを集積・分析して、FireTVstickの電源ONで大相撲と全豪オープンを映す事は可能な筈。
BSの相撲は3アクションで表示(これでも結構な手間だが)されるが、FireTVstick及びiPadでの表示には、数える事も面倒になるほど膨大な行程が必要。
AIの進化よりもまずはこういう身近な所のアルゴリズムがちゃんと便利になって欲しい。
手数は少なければ少ない方がいい。
○大相撲1月場所12日目髙安vs熱海富士、髙安の首投げはそのまま続けて左足で相手の右足をはねあげればかなりの確率でそのまま決まりそうに見えるが何故か自分から腕を離して途中でやめたように見える。
まあ攻防もあって充分な相撲ではあったが。

●2025.01.24(金)はれ
○全豪オープン準決勝、1セット(タイブレイク)でĐokovićリタイア(Zverev決勝進出)。
ĐokovićはAlcaraz戦で痛めた脚が治っていなかったのだろう。
男子も全ての大会で3セットマッチで良い(4大大会を見る度に思う)。
○夕方、インスタントラーメン+たまご。
○夕食は寄せ鍋、焼鳥、納豆、キムチ、ごはん2杯、金麦少々。
○夜食は寄せ鍋の残り、ごはん、焼酎1杯。
○Netflixは元はDVDレンタルの会社だったという話はNetflixの日本進出が決まった約10年前にさんざん目にした。
この話をあたかも大発見のようなニュアンスで話す心理はなんなんだろう。
リスナーはどうせ知らないだろうという想像なのか、あるいは本当につい最近知ったのか。
○大相撲1月場所13日目。横綱昇進場所の琴櫻はなんと負け越し。
今日も全く何もできない一方的な相撲。
どこか痛めているのだろうか?(サポーターをしている左膝?)
○絵が殺した(2021=黒川博行)角川文庫 333頁 ※1990徳間書店
多分前々作「切断」はハードボイルドで面白かったが「ドアの向こうに」と今作は普通の謎解きでトーンダウン。
博学多弁行動的で疫病神シリーズ・桑原に通じるキャラの矢野、スレスレの悪さはしていても犯人とは思わなかった。
自殺した妹の復讐という矢野の動機、妹からどれだけの話を聞いていたか説明不足だし、どういう事情があったとしても、殺してしまうのは過剰ではないか。
熊谷が黒田と細江を殺す動機は一読ではよく判らなかった。

●2025.01.25(土)くもり
○夕方、皿うどん、ライトミール。
○夕食はあごだし寄せ鍋、豚肉生姜煮、きゅうりのあえもの、ごはん2杯、金麦。「クイズ タイムリープ」見ながら。
○夜食は寄せ鍋、ごはん1杯、ゆでたまご、ひねり揚げ、焼酎お湯割り3杯。

●2025.01.26(日)はれ
○午後、臨川図書館。予約しておいた黒川博行2冊と高倉健の新書。
自動貸出機のデスクは二段になっていてカードリーダーが下の段に隠れている謎仕様で使いにくい。
日向で無風だと暖かいが日陰で風が吹くととても寒いが、エアリズム半袖とヒートテック長袖1枚でも長い距離をH歩くうちに汗びっしょり。
○夕方ミニクリームパン5個、チーズクラッカー数枚。
○夕食はフライドポテト、チキン系2種、とろろお吸い物、寿司、金麦、日本酒。

●2025.01.27(月)くもり
○NFLチャンピオンシップ、1試合目は4Q途中まで、2試合目は4Q途中から。イーグルスとチーフスが勝利。
アメリカのゴールデンタイムのLIVEはいまの僕の生活パターンには一番合わない。
○フジテレビ会見約2時間見る。
○夕食は恵比寿駅近くの「つじ田」で濃厚味玉ラーメン(1180円)。
カウンター内部との仕切りが低く、店員がすぐ前に立って作業しているので食べている最中に落ち着かない。
ラーメンで体があったまったので腹ごなしにシャンボールの坂からガーデンプレイスまで歩く。
○夜食は大学いも、シベリア、お茶。
○夜中に若干目眩感。以前にもあった症状。
○16:00に始まったフジテレビ会見、外出から戻って来た後も延々続き、2:30頃終了。
特に驚くような内容はないのにこれだけ長時間続く(ほぼ)LIVE中継はあさま山荘事件以来かも。
一致/不一致を延々問い続けた記者がフジテレビ側に同情票を集める為の仕込みだとしたら、まずまず成功しているブックとは言えそう。
「2025年1月のフジテレビ騒動が旧来の地上波テレビの終わりの本格的な始まりだった」と数十年後に言われる事になりそうな予感。

●2025.01.28(火)はれ
○夕方、皿うどん(レンジ解凍)
○入浴後、左耳の違和感(ヒリヒリする感じ)が右耳と後頭部にも出る。
シャンプーが合わないのかもしれないのでしばらく使うのをやめてみる。
○夕食は焼鳥缶詰、冷奴、キムチ、インスタント味噌汁、ごはん2個、金麦。
○夜食は温たまごかけご飯、ポンスケ、焼酎お湯割り2杯。
○森永卓郎逝去(享年67)。
○午後の曳航(1968=三島由紀夫)新潮文庫 202頁 ※1963講談社
再読。少年たちが猫を殺す話以外は殆ど忘れていた。主人公の13歳の少年は母親の情交を壁の穴から覗く。
僕は母親のそんな姿を見たいとは思わないが、それが世間一般の13歳の少年に共通する心理なのかどうかは判らない。
母親と再婚した元船員を殺す場面は計画が語られるだけ、睡眠薬入りの紅茶を飲んだ所で終わる。

●2025.01.29(水)はれ
○夕方、インスタントラーメン+たまご。
○夕食はおでん、蒸し鶏、納豆、キムチ、いんげん胡麻和え、ごはん1.5杯、金麦。
○夜食は夕食の残り、温奴、ゆでたまご、ひねり揚げ、焼酎お湯割り1杯ウイスキー水割り2杯。

●2025.01.30(木)はれ
○仮眠と合わせればちゃんと寝たのに眠気あり、特に心当たりもないのにみぞおちに不快感。
午後に3時間ベッドで横になり、読書、ビデオ、約90分ウトウト。
○夕方、温たまごかけご飯、皿うどん(レンジ解凍)。
○夕食はカップそば、チキン4切れ、ごはん1個、ライトミール、オレンジジュース。
○夜食はごはん1個+ふりかけ、ゆでたまご、ひねり揚げ、ポンスケ。

●2025.01.31(金)はれ
○U-NEXT5000円キャンペーン申し込む。
○午後、いつものルートでガーデンプレイス方面。
若干の不調感は歩いているうちにあまり気にならなくなる。
○夕方、食パン4枚、ホットミルク2杯、コーヒー。
○夕食は豚大根鍋、鶏肉煮、納豆、キムチ、ごはん2杯弱、焼酎お湯割り。
○夜食は鍋の残り、ごはん1杯、ゆでたまご、ポンスケ、ひねり揚げ、焼酎2杯日本酒1杯。

●2025.02.01(土)はれ/くもり
○昼過ぎ、ねぎたまうどん。
○夕方、食パン2枚、ホットミルク。
○夕食はカレーライス、ポテトサラダ、昨日の鶏肉煮、金麦。
○夜食はカレーライス、ひねり揚げ、ポンスケ、ウイスキー水割り2杯。
○デビスカップvsイギリス戦。ダブルスが負けて後がない所から西岡・錦織連勝で勝ち抜け。
○デヴィッド・リンチ アートライフ(2016=ジョン・グエン他)88分 U-NEXT
関係者インタビューをまとめたよくあるタイプのドキュメンタリーではなく、本人が自分の人生を語る形式。
耳に心地よい声の淡々とした語りで多分15分程度寝てしまう。
幼少期から時系列で進行して「イレイザーヘッド」制作の頃まで。
○「伊東四朗 吉田照美 親父・熱愛」吉田照美「豊昇龍は朝青龍の甥っ子なんだって」とつい最近知ったような口ぶり。
時事問題を扱う生放送番組のレギュラー出演者なら、様々な話題に知ったかぶりができる程度に情報収集するのは仕事のうちではないか(スポーツ新聞の見出しを眺めるだけで可能)。
「なぜいま相撲人気があるのか判らない」と見てもいないのにえらそうな口調で発言するのも相撲ファンに対して失礼だと思う(これは11:00からの番組の方)。

●2025.02.02(日)雨(寒い)
○昼過ぎ、カレーライス。
○夕食はラーメン鍋、卵焼き、鴨ロースト、塩昆布白菜漬け、金麦。
○夜食はチーズ、ゆでたまご、キムチ、焼酎お湯割り2杯。
○暁の追跡(1950=市川崑)89分 U-NEXT
ロケショット多数あるが、いまと違い過ぎるので新橋のどこなのかよく判らない。
1950年頃の東京の風景がたくさん見られるのは貴重。
サウンド状態悪くて台詞が半分程度聞き取れなくて後半の事件の構造はよく判らなかった。



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