EVER LASTING MOMENT VOL.6

■EVER LASTING MOMENT VOL.6
○全編昭和の薫り漂うWEBマガジン
○推奨年齢50歳以上
○無駄に過激な性的描写閲覧注意(R18)
○小説/散文/妄想/企画 或れ此れ其れ何れなんでも有り
○誤字脱字間違い辻褄合わず各自適宜補完にてよろしく哀愁

いずれ一夜の夢ならば
呑んで謡って ホイのホイのホイ
今宵とことん ホンダラッタホイホイ

———————————————————————————————————————

■映画/ドラマ/スポーツなど
●2024年
○放送中 おむすび(朝ドラ)橋本環奈
○放送中 光る君へ(大河ドラマ)吉高由里子
○放送中 それぞれの孤独のグルメ(金24:12テレビ東京)
○配信中 STAR WARS アコライト(Disney+)※全8話
○配信中 ハウス・オブ・ザ・ドラゴン2(U-NEXT)※全8話
○配信中 ザ・ホワイトハウス(U-NEXT)※全7シーズン
○配信中 地面師たち(Netflix)※全7話
○配信中 No Activity(Amazon)※全6話
○配信中 極悪女王(Netflix)※全5話
○10/17木 機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム(Netflix)全6話 ※1年戦争
○06/28金 ルックバック(2024=押山清高)58分 ※一律1700円
○09/06金 エイリアン ロムルス(2024=フェデ・アルバレス)119分
○09/06金 チャイコフスキーの妻(2022=キリル・セレブレンニコフ)143分
○09/06金 ナミビアの砂漠(2024=山中瑶子)137分 ※河合優実
○09/13金 ヒットマン(2023=リチャード・リンクレイター)115分
○09/13金 スオミの話をしよう(2024=三谷幸喜)114分
○09/27金 憐れみの3章(2024=ヨルゴス・ランティモス)165分
○10/04金 シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024=アレックス・ガーランド)109分
○10/11金 ジョーカー フォリ・ア・ドゥ(2024=トッド・フィリップス)138分
○10/11金 若き見知らぬ者たち(2024=内山拓也)119分
○10/11金 二つの季節しかない村(2023=ヌリ・ビルゲ・ジェイラン)198分
○10/18金 デス・ウォッチ(1980=ベルトラン・タベルニエ)130分
○10/25金 トラップ(2024=M・ナイト・シャマラン)105分
○09/21土〜10/11金 映画で愉しむ 私たちの偏愛文学(神保町)
○10/12土~11/01金 小説家・山崎豊子 華麗なる映画たち(神保町)
○09/27土〜10/18金 カメラの両側で…アイダ・ルピノ レトロスペクティブ(ヴェーラ)
○10/05土〜02/11火 モネ 睡蓮のとき(国立西洋美術館)
○10/11金 バレーボール新リーグ「SVリーグ」開幕
○11/13水 プレミア12
○11/10日〜11/24日 大相撲11月場所
○11/22金 海の沈黙(2024=若松節朗)※倉本聰35年ぶり映画脚本
●2025年
○01/01水 ローズパレード ※京都橘3回目の出場
○1月 べらぼう(大河ドラマ)横浜流星
○01/10金 劇場版 孤独のグルメ(2025=松重豊)
○02/14金 キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド
○コブラ会 最終シーズンPART3(Netflix)※24年7月PART1/24年11月PART2
○3月 第6回WBC
○03/18火 MLB開幕戦ドジャースvsカブスat東京ドーム
○4月 あんぱん(朝ドラ)今田美桜
○04/13日 大阪・関西万博開幕
◯6月 サッカークラブW杯(新方式、32チーム)
○09/13土〜09/21日 世界陸上(東京)
○10月 ばけばけ(朝ドラ)
●2026年
○1月 豊臣兄弟!(大河ドラマ)仲野太賀
◯02/06金 ミラノ・コルティナ五輪
◯3月 WBC
○05/22金 STAR WARS新作
◯06/11木 サッカーW杯アメリカ/カナダ/メキシコ大会
○8月 Jリーグ秋春制第1シーズン
○12/18金 STAR WARS新作
●2027年
○世界陸上(北京)
○バスケW杯
○ラグビーW杯オーストラリア ※20→24に増加?
○12/17金 STAR WARS新作
●2028年
○EURO2028イギリス/アイルランド
○07/14金〜07/30日 ロサンゼルス五輪
●2029年
○世界陸上(バーミンガム?)
●2030年
○サッカーW杯モロッコ/ポルトガル/スペイン大会(100周年記念大会)
●2031年
○世界陸上
●2032年
○EURO2032イタリア/トルコ
○07/23金〜08/08日 ブリスベン五輪

———————————————————————————————————————

■U-NEXT見放題(R18)
●素人CLOVER 皇居ランナー るい(2023年10月)
○角度によっては桜井ユキに見えなくもない
○顔も胸も加工っぽいが全体のバランスなのかさほど気にならないショット多数
○ジョギングを近距離で撮影すると顔がブレて長時間見つめると酔いそう、ジョギング姿はロングのフィックスの方が良かった(もしくは高性能ステディカム?)
○東京駅からまっすぐ伸びる道も冒頭シークエンスの最後に写っていた
○ランニングの衣装のままで展開する方が興奮するのだがカフェのシーンは衣装チェンジ
○カフェのシーンは絶妙な光加減(逆光)で横顔は結構魅力的(12分頃〜)
●女子大生をガチ口説き りん21歳ガイドボランティア マゾ聖女(2023年9月)
○冒頭声かけから徒歩移動は暗めの画で角度によってはいい感じ、店に入ると明るすぎてあらが目立ってしまう
○話し声がかわいい
○照明をがっつり当てて正面から撮っても文句がつけようがない顔の人はなかなか存在しないので、なるべく照明をあてすぎずにかわいく見える角度(基本は斜め下とか斜め上)で撮って欲しい
○ホテルではなく殺風景な事務所のような部屋のソファでプレイ、この部屋の画も一言とにかく明るすぎる
○近い将来は鑑賞者の好みによって明るい画〜暗い画や総尺及び会話/プレイの尺のバランスなどをAIが自動編集してくれるようになると期待
●れいちゃん(2023年9月)
○乃木○メンバー風上品な女子大生に見えなくもない
○相手役男優はハゲで顔修正締りのない体、普通の大学生っぽい男の方が良かった
○のっぺりと明る過ぎる照明でセットのように部屋
●AV体験撮影1902 経験少なめ大学生(2022年8月)
○ぱっと見一瞬夏帆
○明るすぎない照明、フェラ顔アップでテカらない(34分頃)
○改造っぽい巨乳
●AV体験撮影1871 結婚3年目ことは (2022年7月)
○角度によっては清楚美人
○色素薄めの微乳
○早送りのサムネイルはモザ薄めでなんとなく形状が判るような気もする(23分頃)
○フェラの横顔悪くない(30分)
○全裸立ちバック、窓から射し込む光がまあまあいい感じ(40分頃)
※個人的には立ちバックは男女とも着衣の方が興奮する
●AV体験撮影1732 自動車ディーラーれな22歳(2022年1月)
○ぱっと見一瞬菊○桃子系アイドル風フェイス
○色素薄めで大きめの乳輪
○初手先端チロチロ舐め、若干テカっているのが残念(34分頃)
○筆者の好物、バックの主観ショット(60分頃)
○途中まで膝上黒皮ロングブーツを履いたまま結合、ブーツフェチには響くのか?

———————————————————————————————————————

■エロティックことわざ(R18)
○穴があったら入れたい
○肌触れ合うも多少の縁
○後悔先に立たず、まずチンポが立つ
○火のない所でもチンポは立つ
○先勃つ不詳のムスコをお許し下さい
○勃つ時アソコをのがさず
○彼氏がいぬ娘(こ)も出歩けば珍棒に当たる
○乳はなくてもチンコはそっと勃つ(貧乳でもOK)

———————————————————————————————————————

■曙光
※無駄に過激な性的描写閲覧注意(R18)

 私の部屋に約束の時間ぴったりに入ってきた司さんは、無言のまま、視線の挨拶をくれると、部屋の照明を暗くして、スローテンポの女性ボーカルの音楽を流して、アロマキャンドルを焚く。音楽とアロマの香りだけで、ここ数年殆ど忘れかけていた官能が、私の意思とは関係なく、身体の奥で小さく弾ける。
 初めて実物を間近で見る司さんは、想像していたよりは小柄で、見るからに優しそうな顔で、色白で、無駄な肉がついていなさそうなスリムな体型。顔をよく見ると、小さな皺は結構あり、35歳の私より、実はずっと年上なのかもしれない。
 ここでは、基本、誰も年齢を気にせず、誰もが「さん」付けで呼び合うので、年齢がよく判らない人が多いが、その中でも、司さんはずば抜けて年齢不詳。 
 司さんの体からは、なんとも言えない、不思議な匂いが漂っている。
 エコボトルを手渡されて、ほんのり甘いドリンクを飲むと、身体の奥から、言葉にすれば、やはり官能としか呼びようがない何かが、どんどん、はっきり、蠢いてくる。いままでの人生で、二十年前に初めてキスをした時にも、その数年後に初めて触れられた時ににも感じた事のない蠢動。ベッドで私のすぐ横に座っている司さんは、まだ、私に触れてもいないのに、どんどん、頭がぼーっとしてきて、何も考えずに、ただただ、この状況に身を委ねたい、という願望が湧き上がってくる。みんながくちぐちに語る司さんの魅力(魔力?)を、私なら冷静に分析できるかも、なんて思っていたけど、全然無理そうな気がしてきた。
 司さんの白くて細くてしなやかな手が私の首筋に触れると、官能の小さな火は、じゅん、と下腹部全体に拡がり、その指が、ブラウスのボタンをゆっくりひとつづつ外す度に、私の思考力、事象を言葉に置換して記憶しようという意思の力は、どんどん喪失していき、その唇が胸の谷間にすっと触れて、指先がブラジャー越しに乳頭部分をかるく撫で上げられただけで全身に電気が走った。
 いったいぜんたい、なぜ私は、いま、こうやって、私の部屋で司さんとセックスをする事になったのか、今夜こうなる前に司さんと話した事を思い出そうとしたが、なぜか、よく思い出せない。会話の全てが心地よかったという記憶のエッセンスのようなものだけが残っていて、会話の内容はよく思い出せない。
 最初に仲良くなって司さんの事を教えてくれたマキさんとの会話「ここでは〈部屋に遊びに行く〉ってのは、完全にそういう意味だから」「そういう意味って?」「やる事をやるって事よ」が急にリフレインする。「司さんとやる事やるのは全然問題ないけど、独占はダメよ」「そうなの?」「すっごい人気なんだから、司さん」
 もう少しだけじらしてからブラジャーを外して欲しい、と思っていると、司さんは、まさに絶妙のタイミングで、両手を使ってゆっくり丁寧にブラジャーを外してくれる。少し垂れ始めているバストを見られている羞恥心を、早く直に触れて欲しい、という官能が上回る。
 司さんの手が私のバストを持ち上げるように触れて、舌先がゆっくり私の乳首にかすかに触れると、またしても、人生で初めて味わう感覚が私を襲う。布ごしに指先でなで上げられた時よりも更に強力な電流のような快感が、乳首の先端から瞬時に脳天に走り、全身を駆け巡り、私の口から、今までに出した事のない声が漏れる。
 司さんの舌と指が与えてくれる快感に身を委ねていると、どんどん、私の中がとろとろに溶けていく。体温と同じ温度のゼリー状の原初の液体にくるまれたようなとてつもない安心感と、ひりひりすような快感が、私の中の何かを間断なく刺激して、私の意識は、夢の世界と現実をふらふらと彷徨う。

 不感症とまではいかなくても、セックスであまり快感を得られない体質だと思って生きて来た。
 腐れ縁の親友だった恵梨香が言っていたような「体の奥の震えがなかなかおさまらない」ような快感は、一度も体験した記憶がない。もっとも、自分では覚えていないが、私は行為の最中によく眠ってしまうらしいので、私の脳が覚えていないだけで、私の身体はそんな快感を知っているのかもしれない。
 触れられたり、舐められたり、挿れられたりすれば、それなりの快感はある。でも、その快感は、乱暴に言えば、普通のマッサージで得られる快感と大差がない感じ。誰が相手でも毎回大差ないので、そのうちに諦めて、まあこんなものなのだろう、不快感がないだけマシ、と思って過ごしてきた。
 つきあった男の中には研究熱心な人がいて、いろいろな事を試してくれた。
 舐め方や動かし方を変えたり、おもちゃを使われたりすすると、それを新鮮さは感じたものの、単に別の種類のそれなりの快感なだけで、どういう風にされても、それが強烈な快感に昂まる事はなかった。
 いろいろ研究してるけどあまり感じない、と相談すると、
「よくわかんないけど、〈研究〉なんかしない方がいいんじゃない?」と恵梨香は言う。
「流れに身を任かせてると、そのうち来るの、波が、すすーっと」
「すすーっと?」
「いきなり、どどーん、って来る事もあるよ」
 そのアドバイスを思い出して、最中に(流れに身を任せよう)と、思ってしてみた事もあったけど、そんな風に頭で考えている時点で身を任せていないわけで、その時も、快感の波と呼べるようなモノはいつまで待ってもちっとも来なかった。

 子供の頃からセックスに関して恵梨香にずっと差をつけられて過ごしてきた腹いせからか、純粋な好奇心からか、恵梨香と圭輔のセックスをこっそり見た事がある。
 ふたりのセックスはいたって普通に見えた。
 圭輔が乳首を舐めると、恵梨香はアダルトビデオでしか聞いた事がないような声を出して、腰をビクビク震わせる。
 圭輔の舌使いはお世辞にも絶妙とは言えない動きに見えるけど、圭輔が股間に顔を埋めるやいなや、恵梨香はまるで達したかのように腰を連続で浮かせて、口を自分で抑えて大きな喘ぎ声が出るのを我慢している様な仕草。
 圭輔が挿入して、腰を使う度に、良く言えば女の私が聴いてもかわいいと思える適度な声量の「あっあん」という喘ぎ声、悪く言えばアダルトビデオでよく聴くようないかにもな喘ぎ声。その声は圭輔の動きにしっかり連動して次第に間を詰めて、圭輔が達する動きで一段と強く速く響く。大きく腰を震わせた恵梨香は「私もいっちゃった……」と圭輔の耳元で囁いた。
 別に、普通がいけないわけではなく、普通にやって、本当にとても感じているのならそれで良いんだけど、なんとなく、私には、恵梨香も圭輔も、アダルトビデオで万全に予習したセックスを教科書通りに演技しているように見えて仕方がない。
 このセックスで恵梨香は本当にそんなに感じているの?
 ……そう思っている私は、その時、いったい、どこにいたのだろう?
 恵梨香のセックスを見た記憶はたしかにある。
 でも、そこに至る経緯が思い出せない。子供の頃にかくれんぼで隠れた恵梨香の部屋のベランダの片隅から、少しだけ開けた窓のすきまから覗いていたのだろうか? いや、私はもっと近く、舌先の動きが判るような距離で見て、すぐそばで恵梨香の息遣いや喘ぎ声を聞いていた。囁いた声さえ聞いていた。そんなにそばにいれば気づかれる筈なので、多分、この記憶は、夢で見た映像の記憶なのだろう。恵梨香のセックスなんて、本当はこんな感じなんじゃないの、と無意識に妄想していたのを夢で見たのかもしれない。
 明瞭な夢の記憶と曖昧な現実の記憶は自分では区別できない。

「すっごく感じている演技をしていると、なんだか本当に感じている気がしてきて、そのうち演技なのか本当に感じているのか、よく判んなくなっちゃうのよね〜」と言っていたのは、20代後半の頃に働いていたスナックのママ。それを聞いた時に、恵梨香のセックスはこういう事だったのかも、と思ったのだ。
 幼稚園からの幼馴染で子供の頃からいろいろな事を話してきた恵梨香とも、恵梨香の結婚を機にすっかり疎遠になった。ちょっとした行き違いから、私の方から徐々に距離を置くようになり、ここに来る頃には殆ど連絡も取らなくなっていた。私が普通の生活を続けて、普通に結婚して、恵梨香のように子供を産んでいれば、子供同士も仲良くさせて、一生親友でいられたのかもしれない、と、時々、思う。

 司さんの舌はゆっくり私の股間の中心に近づいて、その部分を舌先で探り当てる。全裸の私は横たわって司さんの愛撫を受けながら、同時に、その私の姿を真上から見ている。淡いオレンジの照明に照らされた私の身体は、意外と、まだまだ崩れていない、と私は思う。そんなものが実際に見える筈がないので、この映像は妄想なのだろうが、妄想にしてはとてもリアル。
 恵梨香と圭輔のセックスの記憶と同じようにリアル。
 ……リアルって何?
 どうやらこの映像は、スマートコンタクトレンズの誤作動で、ここに来て登録を済ませた時から、私の上空で常に私を監視している極小ドローンの超高性能カメラが、いま捉えている映像のようだ。電流のように強烈に感じられる快感が、誤作動を招いたのだろうか? 司さんの舌の動き方が変わって、再び電流が走ったような感覚に貫かれて、上空の映像は消えた。
 ここで生活をするという事は、こんな映像も常に撮影されている、という事実に、一瞬、驚き、もっと若い頃なら、流出の心配をしたかもしれないが、世捨て人のような生活を送った挙句に、ここで生かさせて貰っている30代半ばの私は、もし流出したとしても、こんな私のセックス動画をもし見たいという殊勝な暇人がいるのならご自由にどうぞ、という心境。それよりも、このドローンと、手首に埋め込んで貰ったスマートチップが、常時私の健康状態を監視・管理してくれている、という安心感の方が強い。
 言葉で表現すれば「乳首をやさしく舐める」「じっくり時間をかけてクンニする」という事でしかない行為が、司さんのそれは、何かが違う。私が今までに体験した十数人の男と何かが違う。圭輔が恵梨香にしていたのとも何かが違う。それとも司さんのやり方が、たまたま私と相性がばっちりなのだろうか。
 司さんの舌先は、私の最も敏感な部分に少し触れる程度の強度で、ゆっくり、じっくり、細かく動く。時々動きを止めて更にゆっくり舐め上げて、唇ではさんで少し吸い込むようにする。司さんが施してくれるタイミング、微妙な力加減、動く速さ、ひとつの動きの持続時間、その全てがしっくり来る。
 最初に触れられた時からずっと駆け巡っている電流のような快感は、いまこの瞬間の行為に至って、ますます強くなり、司さんの舌の動きが少し強度とテンポを上げた瞬間に、上半身から流れて来た電流と下半身から流れてきたそれがその場所でスパークする。私は腰を浮かせて、またしても、初めて出すような声を漏らしたようだ。その瞬間に私の身体から発したエネルギーそのものうような光は、とてつもない明るさで爆発的に一瞬輝いてこの狭い部屋全体に充満して、天井と床と壁に吸いこまれるように消えていく。私の内部を走る電流がスパークして、快感の波があるレベルに達する度に、部屋全体が光り輝く幻に包まれた私は、自分の身体の内側と外側の区別ができないうような、説明し難い心地よさの果てに到達している。
 司さんの舌先が私の聖核に触れてから、まだ1分も経っていないような気もするし、もう30分は続いてような気もする。私の時間と記憶の歯車は調子外れのリズムを刻み続けている。
 
 元来好奇心旺盛な性質で、セックスに関しても、10歳の頃から多いに興味はあり、中学2年の頃にはレディコミやエロサイトでひととおりの知識は入っていたけど、実際にいろいろ体験したのは高校生になってからだった。
 男の子に誘われたら、生理的にどうしても嫌いでなければ一回はデートしてみた。10代の頃の私は、ルックスがそこそこ良い女子中学生あるあるで、なんとなくあわないような気がすると、一回のデートで別れていた。別れてもまた誰か来てくれるだろう、と高をくくっていて、実際、すぐに次の誘いがあった。デートと言っても最初のデートは一緒に下校するだけ。その時に悪くない感じだと、休日に映画館や動物園に行った。
 当時の私は、中学校を卒業するまではせいぜい手をつないで軽いキスまで、本格的な性体験は高校に入ってから、という恋愛ルールを自分に課していて、そのルールの雰囲気を私がまといすぎていたのが伝わったのか、中学生の頃は、三ヵ月つきあって何度かデートした相手でも、なかなかキスをしようとしてこなかった。
 初めてのキスは高校入学前の春休み。
 場所は定番の大きな公園の端っこの方のベンチ、日が暮れかけてきて「ちょっと寒くなってきたね」とつぶやいた瞬間、肩を抱き寄せられて、「え?」と男の子の方に顔を向けたを時にはもうキスされていた。相手も初めてだったのか無我夢中な感じで、一瞬で終わる軽いキスでななかったけど、舌が入ってくるディープまではいかないキス。もう四月に入っていたので、法律上は高校生の扱いの筈だからまあいいか、と思って、それなりに長い時間、唇を重ねていた。
 多分、初めてのキスのドキドキ感の記憶なんだろうけど、振り返ると、そのファーストキスの時は純粋に何かを感じていたような気がする。
 高校に入った当初は、誰が相手になるにしても、まあ遅くても二年の夏休みまでには普通に初体験を済ます事になるだろう、と思っていたのに、大学一年の夏にずれこんだのは、結局の所、そこに至るまでの行為で、さほどの快感を感じなかったから、って今なら冷静に分析できるけど、当時は結構悩んでいた。じっくり時間をかけていろいろして貰っても「挿れて欲しい」と言う気持ちにはならず、毎回断るのは悪いので、最初は手、そのち口も使って満足させてあげるようになった。欲望を刺激して射精に導く行為自体は嫌いではなく、射精する瞬間の普段は見られない、どこかせつなそうにも見える男の表情を見るのは好きだった。
 欲望に対する嫌悪感も、挿入される事に関する恐怖感もなく、むしろ好奇心の方が強かったのに、初体験はちゃんと気持ちが盛り上がった時、なんて思っていたら、毎回毎回、どうにもこうにも、なぜか気持ちは盛り上がらない。
 挿れて欲しいという強い気持ちにならない、と打ち明けると「私はクンニとかされたら、普通に、挿れて欲しい、ってなるけどなあ」と恵梨香は言う。
「フェラしてだんだん勃ってくると、挿れたら気持ちよさそう、って思うし」
「それは何回かした後でしょ? 一番最初はどうだった?」
「どうだったかなあ。あんまり覚えてない」
 私のように変な恋愛ルールを作ったりしなかった恵梨香は、高校入学前の春休みに初体験を済ませていて、私はよくセックスに関して相談した。恵梨香は、当時から、昨日のセックスの事は覚えていても、数日経過すると記憶が曖昧になるようだった。
「どうせ最初のうちはあんまり感じないんだから、とっとと済ませた方がいいんじゃない?」
 そう恵梨香に言われても、結局最後のふんぎりはつかず、数々の未遂を体験して、高校生活は終わってしまった。
 初体験は、大学一年の夏休み、相手は恵梨香の元カレの広志だった。
 恵梨香に呼び出されて恵梨香の部屋で三人で飲んでいて、王様ゲームのじゃんけん版、負けたふたりが勝ったひとりの命令に服従する、みたいなゲームをやりはじめた。私が勝った時は恵梨香と広志が軽いキス、広志が勝った時は私と恵梨香がハグ程度だったゲームは、酔った勢いでだんだんエスカレートして、軽いキスはディープキスになり、気がつけば三人とも上半身裸になって、ゲームも関係なく、三人でするような流れになっていた。広志とディープキスをしながら恵梨香に乳首を舐められた時、恵梨香が許してくれるなら、広志とセックスしてもいいかも、と思っていたのは覚えているが、なぜか、その後の展開の記憶は殆どなく、次の明確な記憶は、正常位で広志に挿れられていた瞬間の記憶。もしかすると恵梨香と広志は最初からそのつもりで、私のお酒に何か入れていたのかもしれない。私の中で広志が動いても、思っていたほど痛くないけど、それほど気持ちよくもなかった。その最中に恵梨香がすぐそばにいたのかどうかも覚えていない。
 しばらく経ってから、その日の事を訊いてみると「そんな事あったっけ? 三人で一緒に飲んだのは覚えてるけど」と恵梨香は言う。
 そう言われると、本当にあった事なのかどうか、急に記憶が曖昧になった。
 その後、広志には一度も会った事がなく、その日の事はいまに至るまで謎。
 その日を境に、最後の一線に対する変なこだわり自体はなくなり、その夏休みの後半、テニスサークルの夏合宿で先輩に告白されて、勢いでその日のうちに最後まで、なんて事もあった。
 仮病を使ってホテルに戻って、女子部屋に四台置かれていた二段ベッドの下の段で、お互いに下だけ脱いで人生初のシックスナインの最中、もしほかの子がいま戻ってきたら見られてしまうかも、と思いつつ、夢中で咥えながら舐められて、初めて体験する状況に、心はドキドキしていたけど、身体の快感はそうでもなかった。
 
「して貰っても、あまりしっかり硬くならないけど、気にしないで」
 司さんの声は、高すぎず、低すぎす、大きすぎす、小さすぎす、その距離で発するのに最もふさわしいような響きで私の耳をくすぐった。私は、司さんの、たしかに硬くはなっていない、やたらとすべすべしている先端部分に唇と舌先をつけたまま、かすかに頷く。
 ここに来てから約三ヵ月、同じ教室で同じ班になった授業で事務的な事を二言三言話した程度で殆ど話らしい話をした事はなかった。それが、数時間前に(今夜、部屋に遊びに行っていいですか?)というメッセージが司さんから突然来て、いま、こうして、司さんの欲望を口に含んでいる。
 この部屋に来て、ふたりきりになってからも、殆ど会話はかわしていない。もちろん、アプリのプロフィール欄やそこから飛べるSNSには司さんの様々な情報はたくさん存在していて、私はその殆どに目を通したはずなのに、いまはその殆どが浮かんで来ない。その情報は記憶の片隅にはあるのだが、いまこうして過剰に触れ合っている男性の情報と、どこか直結しない。
 実際に会ってさえここまで殆ど何も話らしい話をしないままの相手とベッドをともにするのは初めての体験なのに、このごく短い時間で、私は、いままでの人生で誰にも感じた事のない親しみのような感情を司さんに対して抱いている。言葉を使わずに膨大な何かをやりとりしているような不思議な感覚がある。
 人は嘘をつく事ができるので、所詮、言葉は、受け取る側の気分や立場によって、いかようにも解釈可能な、謎の暗号のようなものでしかない。
 本当に重要な事は言葉では伝えきれない。
 私は、もともと自分の考えを、その瞬間に、一番ふさわしい言葉で話すのが苦手な方だったし、記憶力にも自信がなかったので、あまり言葉というものを信用していなかった。
 例えば、「愛してる」という言葉は、ある人にとっては、一生に一回、運命の人と思える人にだけ覚悟を決めて言う・言われたい言葉かもしれないけど、別のある人にとっては、特に意味がない、単なる挨拶の言葉かもしれない。
 言葉を通じて完全に判りあえているとお互いに信じているカップルがいたとしたら、それは完全な錯覚だと思う。
 それでも、たとえ一瞬でもそんな風に思えたら、やはりそれはそれで幸福な事なのだろう、とも思う。結局、この年齢に至るも、そんな幸福な錯覚の瞬間は、私には、訪れなかった。
 司さんと触れ始めてからのこのわずかな時間で、私は、これまでの人生で交わした全ての会話の合計を超える濃密な何かをやりとりしているような、言葉が意味を失って時間が永遠に引き伸ばされているような、不思議な感覚を味わい続けている。
 相手の男をしっかり興奮させれば、その興奮が私にも伝わって、私ももっと感じるんじゃないか、と思って、やり方を研究していた時期があり、フェラチオのテクニックにはそれなりに自信もあったのだが、司さんに対しては勝手が違うようだ。根本を握った指で軽くしごきながら、舌先で先端に触れて、ゆっくりと先端部分を唇で覆って、唇の内側をしっかり密着させた状態を保って、強弱やストロークを変えながら上下運動を繰り返す。過去の殆どの男には効果があったいつもと同じやり方をしていても、何かいつもと違う感覚が、ひとつの動作毎に、触れている部分から伝わってくる。やがて、私にこの動きを命じているのが、私なのか、触れている部分から伝わってくるような何かなのか、曖昧になってくる。いつもなら、相手が一番感じる場所、感じるやり方を探りながらしている行為が、何も考えずに、自動的に、緩やかに継続していく。何かに操られているようなその感覚はひたすら心地よい。司さんに触れられて身体を走る電流と微妙に異なるが、それでも言葉にすれば快感としか呼び様がないものが、指や下や唇を起点に全身を駆け巡る。司さんの欲望は、相変わらず、しっかりと硬くはなっていないが、司さんは、ちゃんと快感を感じてる、という確信と盲信が、私の中で一瞬の間にめまぐるしく交叉して、それが私の頭と心と身体に、かつてないレベルの幸福感のようなものを生じさせ、それこそ、幸福な錯覚にすぎないのかもしないが、私は、そんな感覚に裡も外も包まれて、半ば朦朧とした状態で、司さんの欲望に、指と唇と舌で刺激を与え続ける。
 そっとうながされて体の向きを変えてお互いに舐め合う体勢を取ると、電流のような快感は、互いに触れた部分を通過する度にますます強度を増しながら、円形のレールを走り続けるおもちゃの電車のように、ぐるぐると私と司さんの身体の裡を走り続け、何が私の体を動かしているのか曖昧な感覚は、ますます、強くなってくる。いま、自分が、目を閉じているのか、目を開けているのか、よく判らない。与える快感と与えられる快感が溶けてからまってひとつになり、部屋全体が眩い光に満ちる幻想が再び見えた気がした次の刹那、目の前の現実と思われる光景に、過去の記憶、夢、見た事がない光景がオーバーラップしては、一瞬で過ぎ去って行く。その一瞬に、言葉で語れば数時間を要する物語が詰まっている。

 恵梨香はさっき知り合った若い男の子にフェラをしている。
 場所は新宿のハプニングバーの一番奥のボックス席。
 この時の私と恵梨香は二十代半ば、恵梨香が結婚する直前。軽く飲んだ後、独身最後の記念に見学に行こう、と言う恵梨香の提案に乗り、見学だけのつもりが、飲んでいるうちにどこかで恵梨香のスイッチが入ったのか、気がついたら、こんな展開になっている。この時も、例のじゃんけん王様ゲームがエスカレートしていったのだ。
 ゲーム開始当初は「三秒間ほっぺにキス」でも恵梨香はわざとらしく恥ずかしがっていたのに、どこでスイッチが入ったのか、自称・大学生の二人の片方が、多分ウケ狙いで「十秒間生フェラ」と恵梨香に命令して、さすがにきっぱり「それはムリ」と言うだろう、ひょっとしたら怒って無言で立ち上がって帰るかも、と思って見ていたら、恵梨香は、床に座り、無言で男の欲望を取り出して、先端を少し舐めていきなり深く咥えこんだ。
 十秒の筈のプレイは長々と続き、私ともうひとりの男はアイコだったので見ていたのだが、恵梨香がやめないので、なんとなく、流れで私もやってあげる事になる。
 私が途中から少し本気を出すと男はすぐに達してしまい、恵梨香の方の男は酔うとダメな体質なのか、完全に勃たず、途中でやめた。
 恵梨香が結婚した後でこの時の話を何気無くすると、恵梨香は、「え〜、ハプニングバーなんて行った事ないよ。絶対、誰かと勘違いしてるでしょ」と言う。
 別にどっちでもいいといえばどっちでもいい記憶なんだけど、恵梨香が絶対にないと言い張ったら、本当にあった事も本当と言えなくなる、と思ったら、なんとなく、ちょっと怖くなった。
 これも疎遠になったひとつのきかっけだった。

 司さんの欲望がゆっくり挿入ってくる。
 過去に経験した事がないなんともいえない不思議な感触。
 マシュマロのようなやわらかさ。
 ちゃんと勃っていないのかな……と、思った次の瞬間、ゆっくり奥まで届いた欲棒は、少し大きさを変えて、私の内壁に、これ以上ないような感触を伴って、ぴったりとフィットして、これまでの前戯の快感をはるかに越える、狂おしいほどの何かが発火した。
 快感が強烈すぎて声を出せない。
 快感という言葉で表現できない何か。
 司さんが少し動く度に、前戯で感じていた電流が走るような感覚の数倍、脳天に落ちた雷がどーんと足のつま先まで一瞬で到達するような、激しすぎる快感に貫かれる。私が包まれている目を開けていられないような眩い光は、私の内部から出た光なのか、単なる幻なのか、全く判断できない。この光に包まれて途轍もないどこかに連れていかれそうな感覚に襲われて司さんにしがみつく。司さんと一緒ならこのままどこかに連れて行かれてもいいような気もしてくる。
 私は全身を痙攣させているのかもしれないが、自分で自分の動きを認識できない。
 真上からの映像が再び、瞬間、視界にオーバーラップする。
 私に属していた時間や場所の感覚がどんどん曖昧になっていく。
 私の境界が溶けて消えそうになる。
 私の裡の未知なる何かが何かに繋がっている。。
 太古の海。
 宇宙の果て。
 懐かしい匂い。
 私が体験してきた事の全て。
 私が体験していない事の全て。
 溺れそうになる程の知識と経験の奔流。
 そのまばゆい光の中で私は気を失ったようだ。

 いつの間にか眠ってしまったようだ。
 目覚めると司さんの姿はない。
 アプリを確認すると、司さんかのメッセージ。
「ありがとう。そのうち、また」
 なんとなく文章で返事を打つ事にためらいを感じて「いいね」ボタンを押す。
 カーテンを開けると、眩い朝の陽光が射し込んできた。
 思っていたより随分長く眠っていたようだ。

 ベッドを降りておもいきり伸びをするとびっくりするほど体が軽い。
 昨夜、司さんと、人生で初めて体験するような凄いセックスをした、という事を想い出すが、細かい具体的な詳細を思い出そうとすると、よく思い出せず、ただ、体の奥に、生まれたての小動物が体全体から発する生のエネルギーそのもののような暖かさがあった。
 昨夜のセックスの最中に、これまでの人生を生き直したような強度で、過去の出来事をもう一度体験し直していた気がするのだが、その昨夜の体験の記憶も、もともと持っていた記憶も、詳細を思い出そうとすると、淡い曖昧な小さな断片しか浮かんでこない。
 陽光に照らされた小さなほこりの粒が目の前を漂っている。
 今まで重たく私を押さえ付けていた、恵梨香の事も、他のいろいろな事も、何もかも、私次第なんだ、と思う。本当はずっと前から知っていた。そう思って、窓から空を見ると、体はさらに軽くなったような気がした。
 基本的な生活に必要なモノは全て無料で、学費も無料で、そして昨日のような凄いセックスをしてくれる人もいる。ここに来て数ヵ月になるが、こんな施設が現実に存在するのはいまだにとても信じられない。騙されているかもしれないが、それが判るまではここの生活を味わいつくそう。
【了】

———————————————————————————————————————
  
■すてきな片想い(1984=ジョン・ヒューズ)93分(1985年日本公開)

80年代に多数の青春映画を製作・監督したジョン・ヒューズの初監督作品。過去に3回は見ている筈だが結構細かい部分を忘れていた。他のジョン・ヒューズ系作品と記憶がごっちゃになっていた部分も多数。ジョン・ヒューズ系青春映画の中で一番好きな「恋しくて」に比べると、メインの恋愛話に強烈な物語はない(少女マンガのような展開に着地)。物語冒頭からお互いに好意を持っている事は判っていて、すれ違いのみの展開で、恋の成就に対する大きな障害はない。

挫折や成長が主人公に必要な要素と考えるなら、Molly Ringwaldより、むしろAnthony Michael Hallの方が主人公にふさわしい。前半はかなりMolly Ringwaldに執着しているが、最後はMichael Schoefflingのガールフレンドと仲良くなって満足しているように見える。

ストーリーの大枠は恋人交換モノの変型とも言える。

主人公Molly Ringwaldの相手役がいまいち魅力不足で、とってつけたようなラストは正直気に入らない、と見る度に毎回感じていた気がするが、50代半ばのいまの視点で見ると、全ての恋愛映画はファンタジーに思えてどんな結末も許せる。本当のリアルは恋愛の熱が覚めた後にある身も蓋もない話。若い頃の恋愛を突き動かすエンジンは、誤解と妄想と性欲に過ぎないという事はトシを取れば明白だが、当時はそこまで自覚的ではない。若い時は心の衝動を純粋な恋愛感情と思って突き進めるなら突き進む方がいい、言葉に出して行動すれば関係は一夜で進む事もある、という一種の皮肉を込めた話と解釈したい。25歳を過ぎれば打算抜きの純粋な衝動ではなかなか突き進めない。

Molly Ringwaldは殆ど会話をした事もない憧れの上級生に誘われて、ふたりだけで自らの16歳の誕生日を祝う(ラストシーン)。この恋愛がこのままずっと続くとは到底思えないが、それでも結局何もないまま15歳の1年間が過ぎた、という結果になるよりはいい、と作り手は思っていると想像する。

音楽の使い方が独特で面白い。
登場の度に繰り返しかかるAnthony Michael Hallの短いテーマ。
自分の部屋にいる祖父母に気づかれたくない時にかかるサスペンス。

ヒロインMolly Ringwald(1968年誕生)は、微妙なルックスで、声も特にattractiveではないのだが、いま見ても説明しがたい魅力はある。なんとなく不安定でふわふわしているような雰囲気が、諸々迷っている青春映画の主人公のありようを象徴しているような。

相手役のMichael Schoeffling(1960年誕生、撮影当時23〜4歳?)は普通に20歳は過ぎているように見える(角度によっては20代後半に見える)。

この作品ではガリガリにやせている子供の体型のAnthony Michael Hall、ドラマ「デッド・ゾーン」では言われなければ判らない程のがっちりしたガタイに成長。2010年代にゲスト出演したドラマ「ブラック・ファイル」ではゴリゴリのマッチョオヤジ。どちらも言われなければこの作品の少年と同一人物と気づけないレベル。

おませな弟のJustin Henryは「クレイマー、クレイマー」から6年経って小太りでクソ生意気なガキに成長。

John CusackはAnthony Michael Hallのオタクな友人役(端役)。

コメディリリーフの中国人留学生Gedde Watanabe(1955年誕生)のこの時点の実年齢は20代後半。後にドラマ「ER」に出演(看護師ヨシ・タカタ)。

———————————————————————————————————————

■往還②(1980年代妄想日記改題)
※無駄に過激な性的描写閲覧注意(R18)

○1981.03.21(土)アニメポリス・ペロ
 先週開店したアニメポリス・ペロに和樹と一緒に行ってみた。
 鈴置洋孝(ブライト)のサイン会。
 鈴置さんはやさしそうな雰囲気の人だった。
 客に女子が数人いてちょっとびっくり。こういう所に来る程のアニメ好きの女子を実際に見かけたのはこれが初めて。「OUT」「アニメック」「アニメージュ」の読者投稿欄で、世の中にはアニメ好きの女子もいるらしい、という事を知ってはいたが、いるとしても東京や大阪が殆どなんだろう、と思っていた(住所が札幌になっている女子の投稿は見た記憶がない)。
 いずれも地味そうな雰囲気の子だったけど、それでも女子は女子。中2中3のクラスメイトでガンダムを見てた女子は、ちょっと見ていた程度で、深い部分まで話せるレベルではなかった。こういう所まで来るガンダムマニアと言える女子と会話ができたらどれだけ楽しいだろう。
 サイン会終了後の帰り際、大学生っぽい集団の男子数人が、女子に表紙に手描きのイラストがある薄い冊子のようなものを見せて話しかけていた。あれが噂に聞く同人誌(ファンジン?)というやつなのか? ひょっとして北大(とは限らないけど)にもアニ研みたいのがあったりするのか?
 和樹は「最初から(ちゃんと勉強に)ついていきたいから春から代々木に通う」と言っていたが、僕はしばらく様子見するつもり。人間は所詮ひとり。自分の事は自分で決めなくては。自己学習でついていけるようであればそれに越した事はない。
 澄川駅の改札を出た所で和樹に「フード寄ってく?」と言った時に、和樹の横を通り過ぎて行った女の子、一瞬だったので確信は持てないけど、こないだの帰りの地下鉄で見かけた子だったような気がする(多分同じ紺のコート)。
 和樹が一緒でなければこっそり尾行してみたのだが。
 もし同じ子なら澄川駅が最寄り駅の可能性大。
 夜、勉強しようと机に向かった時に浮かんだおとなのガンダムネタ(和樹のガンダムすごろく向けのシモネタ)。
 アムロ「やってる最中に僕が気をつけられると思ってるんですか、セイラさん」
 セイラ「アムロならできるわ、子供が。だからコンドームをつけなければ」
 アムロ「そんなに僕のをおったてないでください……あ、セイラさんのここ、気持ちいい……アムロ、いきまーす(最後は結局コレ)」(注:原典のセリフは「そんなにおだてないでください」)
 和樹が作ったガンダムすごろく、上半身裸のマチルダさん「寝るのもパイロットの仕事のうちよ、さあいらっしゃい」のコマの絵(月を背後に仁王立ち)は、下から見上げる角度の上を向いているバストの形がなかなかのエロさ。和樹の絵はあだち充と高橋留美子を足して2で割ったような感じで独特の雰囲気。
 今朝見た変な夢。
 夢の中の僕は、多分60代半ばになっていて、昔の事をいろいろ思い出している。
 15歳から25歳までの10年間は人生で初めて体験するいろいろな事があってそれなりに充実していたが、25歳からの40年はあっという間だった。この先の人生には、15歳から25歳までの10年間に経験したような類の楽しさは決して訪れない。あとはますます老いていくだけ……。
 その寂しさの中で目が覚めた。
 明け方の変な時間に目が覚めて、しばらくの間、夢の中で自分の人生をふりかえっている時の感覚が妙にリアルに残っていた。そのリアルな感覚はうまく言葉で表現できない。とにかくリアル。
 夢の中で〈過去の思い出〉として振り返っていた高校・大学・社会人の出来事、目が覚めてしばらくは、断片的に画とムードが漂っていたのにすぐに思い出せなくなった。
 一種の予知夢のようなものだろうか?
 予知夢だとしたら少なくとも大学には行ける。
 いまの僕は、夢の中の年老いた僕が〈輝かしい10年間〉として振りかえっていた10年間の入り口にいる。
 夢の中の年老いた僕が65歳だとしたら約50年後! 2030年!
 いまの僕は3年後の1984年4月でさえ想像できない。
 西暦2000年は映画かSFの世界。
 ホントに実際に西暦2000年は訪れるのだろうか。
 ノストラダムスの大予言まであと18年と数ヵ月。

———————————————————————————————————————

■崩壊
※無駄に過激な性的描写閲覧注意(R18)

 社員として雇用するには戸籍謄本が必要だから、と言われて、特に疑問に感じる事もなく、田舎から取り寄せて提出した。社員と言っても契約社員で、毎日出社する必要はなく、頼みたい仕事があれば連絡するのでなるべく週末は空けておいて欲しい、と言われた。
 最初の仕事は、イベントのリハーサルという事で、貸し切りのカフェバーでただ飲み食いするだけ。茶色のDCブランドのスーツは、数ヵ月前に在籍していた普通の会社では問題になったが、この会社では逆にほめられた。若い数名の女子スタッフの中で一番ルックスが良さげに見えた女の子が僕の隣に座り、面接を担当してくれた木下さんは、しきりの僕と彼女のツーショット写真を撮る。
「こういう感じの楽しいイベント、という雰囲気が欲しいので、もっとくっついて、そうそう、じゃあ、亜蘭くん、ちょっと彼女の肩とか抱いちゃって」などと指示されて、肩を抱いたり、頬を寄せたり、カップルのように見つめ合ったりするが、こちらも20代前半の健康で性的にストレートな男性なので、悪い気はしない。
「サクラです」と名乗った若い女性スタッフは、目元涼やかかなデビュー当時の山口百恵のような雰囲気の美人。話しかけると「日本語、いま、勉強中です」と言う。トイレに立った時に木下さんに訊くと、コンパニオン的な仕事をする為に研修中の中国人留学生だと言う。
 店内を観察すると、僕のようないま風のスーツ姿の若い男性4人それぞれに女性がついていて、各テーブルにまるで専属カメラマンのような男性がいて、親密なツーショット風の写真を撮りまくっている。女性はみんな水準以上のルックスで、男性陣はみんなにやけている。多分僕もあんなにやけた顔で写真に写っているのだろう。サクラさんは日本語も英語もいまいちだったので会話は弾まなかったが、美人と一緒に美味しい料理とお酒を頂いている所を写真に撮られるだけ。こんな楽な仕事があるのだろうか。マスコミが連日報じている空前の好景気は本当にそうなのかもしれない。数ヵ月前に仕事を辞めてアルバイトで生活していた僕にさえ、電話1本、簡単な面接1回で、こんな仕事がまわってくるのだから。
 店を出ると、ペアのままで腕を組むか手をつないで、他のペアと間隔を空けてゆっくりように歩く指示されて、近くの公園に移動する。店にいる間も感じたが、他のペアの男性と会話する事は、やんわり禁止されているようだ。公園でも花壇や噴水の前で仲良しカップル風の写真を撮られる。これのいったいどこがイベントの宣伝になるのだろう?
「ほっぺにキスとかできるよね?」と木下さんに言われ、さすがに戸惑ってサクラさんを見ると、サクラさんは頬どころか唇のキスでも受け入れてくれそうにも見える表情でかすかにうなずく。サクラさんの顔の向こうにかすかに見える、隣のベンチのペアは明らかにキスをしているように見える。木下さんに「もっと肩を抱いて引き寄せて、そうそう、そんな感じ」と言われるがままに、サクラさんの頬に唇で触れる。さっきからほのかに感じていたサクラさん甘い独特な香水の匂いが鼻腔に満ちて、このまま唇にキスしてもむしろ木下さんは喜んでくれるのでは、などと考えていると、すっとサクラさんの顔がスライドしてサクラさんの唇が僕の唇を捉える。数ヵ月ぶりの女性とのキス。サクラさんの香水の香りとかすかな口臭が混ざった匂いが、ガツンと中枢神経に響き、僕の股間は激しく自己主張を始める。
 僕は組んだ脚の角度を変えて、それを木下さんに見られまい、とするが、木下さんはベンチに近づいて位置を変えつつシャッターを切りまくっているので隠しきれていないような気がする。写真を撮られながらキスを続けるうちに俳優になってラブシーンを演じているような、自分が自分でないような気分になってきて、場所を変えて四方八方から響くシャッター音は僕の下半身に流れ込む血流にリズムと勢いを与えているようだ。
 カシャッ。ぴくん。カシャッ。ぴくん。カシャッ。ぴくん。
 軽いキスとディープキスの境目を絶妙にいきつもどりつするサクラさんの唇の感触は絶妙に心地よく、キスを始めてから数秒なのか、数分なのか、もはやよく判らない。風俗店でもないのに会ったばかりの女性と親密な長いキスをしているなんて、今日、ひとり暮らしの狭いアパートを出る時には想像さえしなかった。軽く開かれたサクラさんの唇から舌先を侵入させようとすると、唇は閉じられれ、それがキス終了の合図かと思うと、サクラさんの唇が僕の唇を捉え直し、サクラさんの舌先が僕の下唇を軽くさっとなぞった……。

「一応、今日はコレで終了だけど、この後って空いてる? よかったら、僕のマンションで軽く飲み直すの、つきあうかい?」「ああ、サクラはまだ日本語もアレなんで、いまは僕のマンションに下宿中なんだ」と言われて、なんとなく、木下さんのクルマに乗ってしまった。
 助手席に座ったサクラさんは木下さんと多分中国語で何か言い合っている。激しい口調なのでケンカなのかと思いきや、サクラさんは笑って木下さんの肩を叩き、僕の方をちらっと見て、妖しく微笑んだ。ここに至って「これってひょっとして新手の美人局じゃないか?」という疑念も湧き始めたが、さっきのキスで火がついて、僕の好奇心は、既に何かを期待してしまっていて、クルマから降りた瞬間に「すいません。約束があるのを忘れてました」と言って走って逃げる、という行動はとても取れそうにない。美人局をやるのなら、僕のような金のない若者じゃなく、最初から金持ちを狙うだろう。何があっても命までは取られないだろう。

 都心の高級住宅地のマンションの木下さんの部屋は、LDKが20畳はありそうで、僕の四畳半1Kのボロ部屋の何倍の家賃なのか見当もつかない。毛足の長いふかふかの絨毯、低めのソファー、窓際に大きなベッド、30インチはありそうな大型テレビ、あちこちの間接照明、そしてテレビの横のステレオセットから流れる妙にムーディーなジャズっぽい音楽。まさに「POPEYE」の特集に登場しそうなオシャレ部屋。木下さんは、見た目はそのへんにいそうな普通のおじさん(推定年齢35歳)なのに、こんな部屋に住んでいるなんて、あなどれない。
 サクラさんは僕に瓶ビールを手渡して、ポテトチップスを山盛りにした大きなガラスのボウルをテーブルに置くと、僕の隣には座らずに、ベッドのそばでしばらく木下さんと話をして部屋を出た。
「亜蘭くん、今日はどうだった?」
「どうって……ただサクラさんと話をして、さっきの公園では、あんな事まで……」
「こんな楽な仕事はないって思ったでしょ?」
「はい、いや、はい」
「なんか裏があるんじゃないかって、思ってる?」
 木下さんは、いつもの柔和な笑顔ではなく、初めて真顔で見つめて来て、その顔に少し恐怖を感じつつ、同時に、木下さんって実は結構ハンサムなんだな、と思って、答えに窮していると、
「大丈夫、大丈夫。まあ、スレスレっちゃあスレスレだけど、亜蘭くんたちに、大きな実害がないようはしてる筈だから」
「はあ」
 大きな実害がない、という事は、小さな実害なら被る可能性もあるのだろうか?
 やっぱり、いますぐ、この場から立ち去った方がいいのだろうか?
「亜蘭くんは、中国語できる?」
「全然できません」
「中国語できれば、亜蘭くん、意外と物怖じしないみたいだから、スカウトの仕事とか、すぐにまわして貰えそうだけどなあ」
「中国の人をスカウトするって事ですか? サクラさんみたいな?」
「スカウトとか、諸々交渉ね。俺もまだ勉強中だけど、難しいね、中国語は。連中がもっと英語話してくれるといいんだけど……あ、サクラは、いまシャワーだけど、亜蘭くんも入ってくれば? 汗かいただろ?」
「え、でも、いま、サクラさんが」
「サクラなら全然平気だけどね。じゃあ、俺が先に入っちゃうね」
 ひとりで広いリビングに残されて、テレビのチャンネルを換えながら、さてどうしたものかと考える。耳をそばだてるとかすかにシャワーの水音が聴こえる。いま、サクラさんと木下さんは一緒にシャワーを浴びているのだろうか。さっきの公園のキスの記憶が蘇り、もっとハードなプレイをサクラさんが木下さんに施している光景が浮かび、その想像は、いまこの瞬間にシャワーを浴びながらそれをしているのではないかという具体に飛躍して、気がつくと僕の欲棒はいきりたっていた。興奮を鎮める為に立ち上がって深呼吸をして部屋を歩き回っていると、玄関に通じているドアが開いて若い女性が半身を覗かせた。
 「ニッポンジン?」「イエス」「サクラは?」「シャワー、キノシタサン、イッショカモ」とたどたどしく言うと、女性は笑顔で「オッケー」と言ってドアを閉じる。いまの女性もスカウトした中国人なんだろうか。サクラさんとは違うタイプの大柄でシャープな美人だなあ。

 ✕ ✕ ✕ ✕ ✕

 この文章は、この出来事を体験した約30年後に書いているのだが、実は、この後の出来事の記憶はどこまで本当だったのか、記憶は定かではない。
 ひとりでシャワーを浴びて、リビングに戻ると、木下さんとサクラさんともうひとりの女性はTシャツとショーツだけでソファに座っていた。木下さんに薦められて飲んだ錠剤に何か麻薬的な成分が入っていたのではないかと思うの。あの錠剤を飲んだあたりから記憶が曖昧になる。
 酒と一緒に木下さんが全員に配ってくれた小さな緑色の錠剤を飲んでしばらくすると目がまわって寝てしまったような気もするし、いつもなら酒を飲むと勃ちが悪くなるのが妙にギンギンで、サクラさんに導かれるままに事に及んだような気もする。
 30年を経過して忘れてしまったわけではなく、翌朝目が覚めた時点で既に記憶が曖昧だった。
 げんみつに言うと、サクラさんとセックスした断片的な影像はちらつくのだが、それが昨夜の実際の体験の記憶なのか、いま寝ている間に見た夢なのか、いまこの瞬間の僕の願望の映像なのか、自分でもよく判らなかった。記憶が曖昧と言えば、木下さんのマンションからアパートまでどうやって帰ってきたかも全く覚えていなかった。そにかく、その日は、今までに体験した事がない二日酔いで、強烈な頭痛と頭がぼーっとしているような状態が同居しているような、交互に訪れるような妙な状況で、夕方まで横になっていて、時々水を飲み、意識を失うように眠ると、裸のサクラさんと体を重ねるイメージがフラッシュする、ストーリー性が全くない夢を見たような気がする。
 日が暮れる頃にようやくあまりふらつく事なくトイレに行ける程度には体調が戻ってきて、昨日着ていたスーツをファンシーケースに入れようとすると、上着の裡ポケットに妙な膨らみがあり、確認すると何も書かれていない白い封筒に現金20万円が入っていた。
 翌日以降、何度か会社に電話してみたが、木下さんは常に不在で、電話に出た女性は「いま、誰もいないので、判りません」を繰り返すだけ。その後、会社からの次の仕事の依頼もなく、数ヵ月が過ぎ、しばらくはそのまま取っておいた封筒の現金20万円は、あの日の1回の仕事の報酬なのだろうと勝手に判断して、家賃その他に使ってしまった。
「ああ、それって、多分、偽装結婚だよ」
「バレたら逮捕されちゃうとか?」
「大丈夫じゃない? 実はオレも去年やったんだ」
「じゃあ、ヒロキは戸籍上は結婚してる事になってんの?」
「いや、最初からの約束で1年で離婚した」
 そんな会話を六本木のカラオケパブのバイト仲間のヒロキとして、弁護士志望の大学時代の友人にも(友人の話として)アドバイスを貰い、戸籍抄本を取り寄せて、離婚届を提出した。厳密には文書偽造的な罪に問われるのかもしれないが、もう時効だろう。結局はダマされたわけだが、報酬も貰ったし、滅多にできない体験もできたので、サクラさんの事はもちろん、なんだか木下さんの事も憎みきれない。ここに書いてある事も、どこまでが事実に基づいているか、書いている僕自身の記憶が曖昧である。ヒロキも僕と同じように、あちこちでいかにもツーショット風の写真を撮られたと言っていたが「ちっきしょ。オレの時は飲み食いなんてナシで、報酬も15だったよ」と嘆いていた。
 そのカラオケパブのバイトも3ヵ月程度で辞めて、ヒロキがいまどこで何をしているか、もちろん判らない。多分ヒロキは僕の存在さえ覚えていないだろう。ヒロキには木下さんのマンションの話はしなかったが、相当遊んでいると言われていたヒロキなら、僕が飲まされたかもしれないクスリの事も、あるいは知っていたかもしれない。若い頃には好奇心と金に釣られていろいろな体験をして、その中には、こういうちょっと危ない体験もあった。
 一歩間違っていれば、マジでヤバい世界にひきこまれていたかもしれないが、何もせずにひたすら安全な道を選択するよりは、こういう体験をして良かったとさえ思っている。ひたすら無難な選択をして死ぬ瞬間に「俺の人生は何だったろう」と思うよりも、「俺の人生、まあ、それなりにいろいろあったな」と思って死にたい。
 若い頃はそんな風に思っていたが、この年齢になって性欲が衰えてくると、どんなに平凡な仕事と生活でも、ちゃんと結婚して子供を育てあげた人は、それだけでも充分な人生だと思う。妻も子供も持たなかった僕は、せめて小説という作品で何かの爪痕を残したい、と思ってもがき続けているいるが、多分無理。注文が来るのはとても後世に残りそうにないエロ小説だけ。普通の小説を書こうとすると、なぜか筆が止まってしまう。
 何かしら人と違う事を目指して、実際に後世に残るだけの何かを達成できる確率は多分0.1%もないと思う。

 ✕ ✕ ✕ ✕ ✕

 「無駄に描写が細かい」と批判される事が多い性愛描写の執筆、いつもならすらすら筆が進むのに、今日はなぜか停滞している。目を瞑っていてもバンバン書ける筈なのに中学生の作文以下の日本語しか浮かんでこない。どこか不調なのかもしれないが、締切は今日なので、なんとかしなければならない。たいして売れない、たいして面白くもない話しか書けない僕のような三流作家にできるのは、せめて締切だけは守る事だけだし、締切を破ってまで考えても更によくなる気は全然しないので、これまで締切だけは常に守っていた。出版関係のアルバイトをした事もあるので、実際は多少の遅れは問題ない、という事も知っているが、できれば締切は守りたい。
 いま書いている中編も、最後の性愛シーン以外は何度か手を入れて、僕なりのベストにはしてあり、後は大まかな流れだけを決めている性愛シーンを、いつものように、ノリで一気に書き上げるだけだった。
 こう感じているのは僕だけかもしれないが、性愛シーンは、頭であれこれ考えるのではなく、感覚で勢いにまかせて書いた方が臨場感が出る。それも締切最終日に、明日は出征する特攻隊パイロットのような心境で、その時点での最大限をぶつけるように、短い時間で一気に書くと、妙な迫力だけはある描写になる気がするので、いつものように、今回もあえてこの部分だけを今日まで残していた。なぜか、今日はダメだ。筆がちっとも進まない。げんみつには、キーボードの上の指がちっとも動かない。
 50代半ばという年齢に至って、遂にその方面に向かう何かが、妄想レベルでさえ枯渇したのか。あるいはどこか身体が不調なのか。目を閉じて深呼吸してみる。鼻が詰まって、痰が少し絡まっている感覚があるが、これは30年程前に肺炎を患って以降ずっと感じている感覚だから問題ない。あえていえば、いつも軽い頭痛を感じている場所より、もっと奥の方にかすかな違和感・鈍痛があるような気もするが、たいした事はない。もっとひどい頭痛を感じながら書いた事も何度もある。
 何かがブースターになる事を期待して、ネットの素人動画をぼーっとザッピングしてみる。「1989年撮影、美人ホステスと夢の4P」という動画に出ている女性に強烈に見覚えがある。
 涼やかかな目元でデビュー当時の山口百恵のような雰囲気の美人。
 子供の頃からいまに至るまで一番好きなタイプの顔。
 当時大流行のミディアムロングで前髪トサカの髪型。大きめの白いTシャツの裾からすらりと伸びている素足。ベッドに座ってカメラ目線で微笑えんでいるだけで何も話さないが、顔だけでもオカズになりそうな美形。
 当時好きだったAV女優が素人設定で撮った作品なのかな、と思って記憶を探っても、該当する人は思いつかない。こんな顔とスタイルのAV女優を一度でも見たら、絶対に顔と名前を覚えた筈なのに、全く思い出せない。あるいは、誰かの部屋かどこかの店で、当時、1回だけこのビデオを見たのだろうか。
 一言も話す事はなく、プレイが始まった。
 ホテルでもスタジオでもなく、個人宅のように見える部屋。
 薄暗い照明、低めのベッド。
 女性がスーツ姿の若い男性にキスをするのを手持ちのカメラが捉えている。
 女性の方が積極的で男性はほぼ受け身のように見えるが、会話がないので、童貞設定なのかどうかはよく判らない。
 クロウスアップの女性の顔をまじまじと見ると、モニター越しに見たのではなく、この女性と当時直接会った事があるような気がどんどんしてきた。
 そんな筈はない。
 1989年撮影というタイトルに偽りなしなら、当時の僕は23歳か24歳、アルバイトをしながら売れない小説を書いてふらふらしていた時期で、こんな女性に出会う筈がない……。
 手持ちのカメラがゆっくりふたりに近づいいく。
 女性がキスをしている男性の顔にどことなく見覚えがある。
 サングラスで目は見えないが、その男性の顔は、若い頃の僕に見える。

 ✕ ✕ ✕ ✕ ✕

 見覚えがないバスルームで、なぜここでシャワーを浴びているんだろう、と思いながら体を洗っている。欲棒の先端部分を丁寧に念入りに洗っていると、サクラさんの唇の感触の記憶が甦り、僕の手の中で、20代前半のそれは、弾けるように体積を増す。
 脱いだスーツをまた着るのはなんだか面倒に感じて、スーツとワイシャツとネクタイを抱えて、Tシャツとショーツでリビングを覗くと、木下さんとサクラさんともうひとりの女性は、Tシャツとショーツ姿なので、安心して、そのままの格好でリビングに入る。ソファーに座って飲み残したビールをちびちび飲みながら、横目で木下さんと女性ふたりが片隅のキッチンカウンターの所で何かを話しているのを見る。中国語は判らないがケンカをしているような雰囲気。やがて木下さんは部屋を出てすぐに戻ってきて、大きな財布から数枚の紙幣を出して女性ふたりに渡した。ケンカのように見えたのは金額交渉だったようだ。
 木下さんが全員に配ってくれた妙な匂いと味のタバコを吸うと頭がボーッとしてくる。もう後にはひけないかも、という思いが、強烈に湧き上がる。もうひとりの大柄でスタイルが良い女性は「チアキ」と木下さんが教えてくれる。正面に座っているふたりの女性が姿勢を変える度にロングTシャツの裾からショーツをちらりと見える。僕の欲棒はその度に反応して、外から見ても半勃ちが判る状態な気がするが、このタバコと酒のせいか、別に気にならない。なんならショーツも脱いでも構わない気がする。
 好きな食べ物の話を日本語と中国語と英語でする。女の子ふたりは時々中国語で会話をしては大笑いをする。ふたりの会話はもちろん全く判らないが、なんとなく、楽しい雰囲気を伝わってくる。魅力的な若い女の子が半裸に近い格好で笑い合っているのを眺めていると、エロティックな気分と、この時間がずっと続いて欲しいという幸福感が交錯する。
 木下さんが「パワーが増すヤツ」と緑色の錠剤を配る。当たり前のように服む他の三人にならって酒で流し込む。
「さっきの公園の続きな感じがいいかなあ」と木下さんに言われて、僕とサクラさんは、昼間に着ていた服をもう一度着て、並んでベッドに腰掛ける。木下さんがベッドの正面のテーブルに置いたカメラと、いま手に持っているカメラは、普通の一眼レフカメラにくらべて随分大きい。
「木下さん、そのカメラって……」
「大丈夫、大丈夫。あくまで個人的なアレだから、気にしないで。一応コレ」
 木下さんから手渡された濃いサングラスをかける。
「あまり馴れてない若い男が、やられちゃうみたいな雰囲気で」
 サクラさんの滑らかな舌先が僕の唇の間に自然な動きで滑り込んできて、僕は本能的に自分の舌で迎えにいきそうになるが、あえて、歯を閉じたまま、抵抗してみる。年上の女性に誘惑されている童貞の大学生と自分を設定をするのはそんなに難しい事ではない。ほんの数年前は実際に素人童貞の大学生だった。唇の裏側からや歯茎を軟体動物のように動き回るサクラさんの舌先の愛撫をただ受け続けて、自分からはアクションを起こさないようにすると、体の奥底から湧き上がってくる快感はより増すように感じられ、酒を飲むと勃たない事も多い筈の僕の欲棒はどんどん充溢していくようだ。そのまま押し倒されてキスを続けながら、ネクタイを緩めてワイシャツのボタンを外したサクラさんの手がTシャツの内側に侵入してくる。サクラさんの指がすっと乳首を撫でられても、僕は目を閉じて歯を閉じて腕を伸ばしてひたすら受け身の体勢を取り続ける。サクラさんの肩を強く抱いて引き寄せて体勢を入れ替えてサクラさんの服を脱がせたい、という強烈な衝動にあえて全力で逆らってみる。
「亜蘭くん、いいね〜、そのされるがままの感じ」
 歓心したような声が聞こえて薄目を空けると、木下さんがすぐそばに立って、見下ろす角度でビデオカメラを抱えている。不思議に恥ずかしさはない。サクラさんの指先が移動して既に隠しようがないレベルで自己主張している僕の欲棒を位置を確かめるようにすーっと撫で上げると同時に、サクラさんの舌先が強く僕の歯をこじあけるように侵入してきて、されるがままの演技を続けるのはどうにもこうにも困難になり、下の奥歯を丹念に探るような動きのサクラさんの舌に、気がつけば応じていた。
 サクラさんに両手に頬を覆われて押されるようにされると僕の口は自然と大きく開き、全力でサクラさんの舌の動きに応じる。サクラさんの唾液と僕の唾液が際限なく混じり合う。サクラさんの両手の感触を両頬に感じながら人生で初めて経験するレベルの激しいディープキスを続けている間にチアキさんの馴れた手付きでショーツはいつの間にか全部脱がされてしまっているようだ。体勢を変えて今度は僕がサクラさんを攻めようと思うのだが、なにか透明な巨大な風船に全身を押さえつけられているような感覚で両腕は動か事ができず、果てしなく、サクラさんと唇を貪り合う。
 欲棒の先端が生暖かいなにかに覆われる。少し首を動かして確認しようとするが、サクラさんあはそれをさせないようかのように角度を変えて、より深く舌を差し入れてくる。サクラさんの舌先が上の歯の裏側に強く押し付けられると、そこから脳天に向かって電気が走ったような感覚が生じて、僕の視界に、僕の欲棒を口に含んでリズムカルに上下運動をしているチアキさんの顔を横から捉えた映像がスパークする。この映像は、多分、木下さんが手持ちのビデオカメラでいま現在撮影している映像で、そんなものが見える筈はないので、僕の脳が妄想した映像なのだろうが、あまりにも鮮明にチアキさんの唇と舌が僕のいきりたった欲棒を嬲りまわす動きをクロウスアップで捉えている。仲良くなった女の子に訊かれたらそれなりの経験があるように装っていたが、実際は20歳まで素人童貞で、女の子との交際経験も決して多くはなく、いたって普通のセックスしか経験していない僕は、(多分)ドラッグ、複数、撮影、という、未体験ゾーンてんこもりに我を忘れて幻覚が見える程にぶっとんでしまっているようだ。
 次の瞬間、さっき感じた電気が走るような感覚の数倍のレベルで痺れるような何かが全身を瞬時に駆け巡り、僕の視界は真っ白になる。おそらく、チアキさんの口の中に射精したのだろうが、射精の快感を越える何かが全身を駆け巡ったので、射精したのかどうかよく判らず、しばらくの間、失神していたようだ。
 かすかな生臭いような匂い。
 生暖かい何かが口に押し付けられている。
 さっきのサクラさんの唇と舌の感触に似ているがどこが違う。
 僕は朦朧としたまま、本能的に舌を出して、ぬめぬめしているそれに舌先をあてがう。
 かすかな窪みや段差や粒状の突起を舌先で確認して、突起部分をじっくり円を描くように舐めるのが基本、という概念がどこからともなく頭の中に響いてくる。
 やがて唇と舌以外の感覚が少しづつ戻ってくる。
ゆっくりと目を開けると、すぐ目の前に微妙に揺れる女性の下腹部、縦長のへそと、やや薄めの陰毛が見える。僕の顔に和式便所を使うような格好で全裸でまたがっているこの女性は、顔はよく見えないが、長い髪が揺れているので、チアキさんだと判る。
 サクラさんはどこにいるのだろう、と思った瞬間、下半身の感覚が急激に甦る。
 暖かくて柔らかい何かに包まれてピストン運動による刺激を受けている僕の欲棒は、はちきれそうに膨張している。チアキさんが上体を反らせると、僕の欲棒が挿入っているサクラさんの体が見えてくる。その傍らに下半身裸で立っている男性は木下さんだろう。毛がたくさん生えている木下さんのおしりに隠れてサクラさんの口元は見えないが、角度と動きから見て、サクラさんが木下さんに口腔淫技を施しているのは想像に難くない。
 僕の直前の記憶はサクラさんといまだかつてないディープキスをしながら、チアキさんに舐めて貰っている所で途切れている。そのままチアキさんの口内に射精したような気もするが、その瞬間の記憶はない。サクラさんはいつの間に服を脱いで、いつの間に僕の欲棒を迎え入れてくれたのだろうか。迎え入れる前に、サクラさんは、さっきのディープキスのように、僕の欲棒を唇と舌で強く深く刺激を与えてくれたのだろうか。
 いまその刺激を受けているであろう木下さんが羨ましい。その羨ましさをぶつけるように、チアキさんの濡れて充血した部分を舌で刺激する強度と速度を一気に上げると、チアキさんは大きな声を漏らし、その声に呼応するようにサクラさんのその部分はキュッと締まり、僕はあまりの密着度に意識が飛びそうになる。避妊具はちゃんと装着しているのだろうか、このままサクラさんの中で射精してしまっても大丈夫なのだろうか、という常識が、一瞬意識を走り抜けるが、いま行われている行為を中断して確かめる事はできそうにない。
 僕の舌の動き、チアキさんが漏らす声、サクラさんのその部分の収縮は、一定のリズムを刻みなながら、いつまでも繰り返される循環コードのごとく連関して、僕は、僕の舌を動かしているのは、僕自身の意思なのか、いま繋がっているこの4人の、ある種の協同作業なのか、よく判らなくなってくる。
 もう随分長い時間、こうやって舌を動かして舐め続けている気がするが、いつもなら短い時は数分で感じる舌の付け根の疲れをなぜかいまは感じない。チアキさんが漏らす声、サクラさんの収縮で生じる、得体のしれないエネルギーのようなものが僕の肉体に充溢している気がする。そのエネルギーの流れを意識すると、僕の舌は殆ど自分で勝手に動くようだ。
 サクラさんが太い欲棒の先端部分を舌先でゆっくり丹念に嬲っている映像がいきなりカットインしてくる。木下さんがいま撮影している映像なのだろう。さっきはこの映像に自分の視界を完全にジャックされる感覚だったが、今回は、映画のオーバーラップのように、目の前のチアキさんの映像とサクラさんの映像が二重写しになっている。
 僕の舌技で微妙に揺れるように動いているチアキさんのクリトリスと、二重写しになっている木下さんの欲棒の先端部分が、ちょうど位置的に重なると、チアキさんは更に大きな声を出し、木下さんも声を漏らし、サクラさんのその部分は長く収縮を繰り返す。
 顔面に押し付けられた聖核を尖らせた舌で舐める。
 顔面に押し付けた聖核が尖った舌先で舐められる。 
 強く吸い込まれている欲棒が射精寸前の快感で脈震している。
 欲棒の先端を強く吸い込むように刺激する。
 その全ての感覚が〈自分の感覚〉として同時に感じられる。
 舐めて、舐められて、吸い込まれて、吸い込む。
 四種類の感覚が四重奏を奏でると同時に各々が強烈に主旋律を主張する。
 僕は、いままでに感じた事がないレベルの快感、射精の快感なのか別の何かなのか、自分でも判らないような快感で全身が痺れ、欲棒から何かが激しく波打つように放出するような感覚が長く長く続く。さっき聞こえてきた〈概念〉のような声が「これは夢だ」と脳内で響くが、仮に夢だとしても、いま僕が感じているのは、現実以上の現実感で、現実には体験した事がないレベルの快感を伴う射精感覚、快感が強すぎて声も出せないレベルの射精感覚だ。体感では数分間は続いた射精感覚が漸く収まってくるに従って、僕の意識は再び遠のいていく……。

 なつかしい匂い。
 この匂いは好きだった匂いだ。
 唇に柔らかいものが触れて、少しづつ、液体が流れ込んでくる。
 ゆっくり目を開けると目の前にサクラさんの顔が見えた。
 笑ったサクラさんはベッドサイドのテーブルのグラスの中身を口に含み、再び僕の口に流し入れてくる。甘くて少し苦い。
「お。目、覚めたな。どう? 3回目、行けそうか?」
「僕、どれくらい寝てたんですか?」
「ほんの数分だよ。さっきのアレ使うと、初心者はよくあるみたいだけど、まあ、大丈夫だろ。オレは毎回使ってるし」
「なんか、10時間くらい寝たような、すっきりした感じです」
「亜蘭くん、なかなか良い感じなんで、オレもノってきちゃって……3回目は、普通にシンプルなやつ、撮らせてくんない?」
「頭はすっきりしてるんですけど、こっちは、すっきりしすぎているような……」
「若いから大丈夫って」
「木下さんって、しょっちゅう、こんな事、してるんですか?」
「誰かがやってんの、コレのファインダー越しに見ると、なぜか、妙に興奮するんだよねえ。後で亜蘭くんも撮影してみる? 」
 僕は複数プレイの事を訊いたつもりだったのだが、木下さんにとっては、複数プレイは別に特別な事ではないらしい。笑顔で普通の口調で話す木下さんを見ていると、複数プレイを特別な事と考える僕の方が特別なのかも、という気もしてくる。
 木下さんが目で合図を送ると、サクラさんは僕の乳首に舌をはわせながら、ベテランドライバーの繊細かつ的確なシフトチェンジのごとく、余計な力が全く入っていないような自然な動きで、僕の陰茎を軽く握り、舌の動きのリズムと強弱にあわせて、ゆっくり上下に動かす。すっかり無感覚になっているように感じられた僕の欲棒は、サクラさんの手に馴染むようにゆっくりと形状を変えていく。  
 握った手を時に軽く震動させ、強く握って素早く往復させて、再びソフトタッチに戻る絶妙なハンドムーブ。サクラさんの舌がもう一方の乳首に移動した時には、僕の欲棒は半勃ち以上の状態になっていた。
「おっ。亜蘭くん復活」
 木下さんのビデオカメラが僕の欲棒のすぐそばににじり寄ってくる。
「ま、アレ飲んでサクラにコレされたら、20代前半ならひと晩5回は余裕だよねえ」
 木下さんに撮られる事を自然な事のように感じている事に自分で驚く。
 サクラさんに手でされている所を木下さんに見られている、木下さんに撮影されている、と言葉にして思うと、僕の欲棒はどんどん漲ってくるようだ。
 乳首から脇腹を沿って下半身に移動して行ったサクラさんの舌は、欲棒の先端を華麗にいったんスルーしてその下の袋に触れる。ほぼ屹立した僕の欲棒の根元を軽く上下運動を与えつつ、サクラさんはもう片方ので手で宝玉袋を持ち上げるようにして裏側の方からゆっくり舐めて、その舌先が宝玉に触れ、僕の片方の宝玉はふんわりとサクラさんの唇の中に吸い込まれ、温かい口内で舌で転がされるうように嬲られる。空になっているタンクに、サクラさんの舌と唾液から何かが補給されるような感覚がはっきりと感じられる。
 サクラさんの舌先が欲棒の裏側を滑らかに移動して先端部分の裏側を丹念に探るように刺激すると「っんっ。そこ……死ぬほど気持ちいいです……っあっ」という声が無意識に声が漏れてしまう。囁くように出た声は女の子が漏らす声のように感じられ、声に出すと快感はより増すようだ。
 手の平は宝玉袋を包み込んで宝玉を転がすように軽く動き、欲棒を握っているもう片方の手の親指の腹は裏側の一番敏感な部分に強めの刺激を与え、先端部分の周囲を丹念に探るように舐めていた舌は発射口付近に移動して、時に強め、時に触れるか触れないかの繊細な舌先愛撫が続く。
 サクラさんの三点同時攻撃で欲棒は完全に怒張して、意識もどんどんクリアになってきた。チアキさんのフェラは、サクラさんとのディープキスにかなり意識が向いていて集中して味わえなかったが、完全受身体勢でサクラさんの口と手による超ハイレベルな愛撫を受け続けると、あまりの快感に目が眩むようで、充填と発射に向けた動きが加速する疼きが肛門の奥の方に感じられる。
「じゃあ、そのまま、おしり、こっち」
木下さんの指示でサクラさんが僕の顔の上にまたがるシックスナインの体勢になり、僕は目の前にあるサクラさんの手触りが良い薄いショーツをゆっくり脱がせた。サクラさんの女性の部分を至近距離で見ると、さっきまで脳裏に残っていたチアキさんのその部分の印象は急速に薄れていく。目の前にある、いま、やるべき事こそが重要で、数十分前でも過去は過去、という概念が、どこからともなく頭に浮かぶ。
 状況のせいなのか、クスリのせいなのか、普段なら最初はそっと触れるその部分の濡れ具合いの確認もせず、僕は、両方の親指でぐっと左右に押し開いて、くぱあと開いたその秘孔に、いきなり舌先を突っ込んだ。その部分は唾液を潤滑剤にする必要がない程にとろとろに濡れそぼっていて、そのまま、できる限り舌先を奥へ入れていくと、サクラさんは、僕の欲棒を深く咥えたまま、短く「っんっ」と声を出し、鼻から強く吐き出した息が張り詰めつつある宝玉袋をくすぐる。
 サクラさんの腰骨の辺りに手をかけて強く引き寄せて、舌先で激しめにピストン運動をすると、サクラさんは仕返しのようにやや強めに宝玉袋を握ってぐっと押し上げて、袋の下と肛門の間の部分に熱い舌を這わせた。
「いいね、亜蘭くん、いいね」
 いつの間にか木下さんのビデオカメラは僕の顔のすぐ近くにあり、サクラさんの部分に肉薄している。舌ピストンを繰り返しつつ、指先でクリトリスのあたりに高速震動を与えると、サクラさんの舌はアナルの際と宝玉を縦横無尽に移動して、欲棒を強めに握る手は、僕が与えている震動のリズムに呼応して短いストロークの上下運動を繰り返す。
 サクラさんの舌の動きで発射に向かう疼きは内奥から脚の付け根あたりまで広がってくる。この動きを続けられてはとても持ちそうにない。僕は一時休戦の意思を示す為に、秘孔から舌を抜き、指バイブもやめて、ヒップの頂きあたりにそっとキスをするが、サクラさんは一連の愛撫をやめてくれない。
「っんっ……っあっ……サクラさん、ちょっと、ちょっと待って……」
 数秒続けられたら後戻りできないという所で、サクラさんは動きを止めて、僕の局部から顔を離した。僕もサクラさんの局部から顔を離して完全に仰向けになり、荒い息を吐きながら、呼吸を整える。こんなに強く愛撫されたのも、こんなに射精寸前まで近づいて中断するのは初めての体験。激しい運動をして呼吸が収まってきた時の状態にどこか似ていて、脳から出た何かが全身をちりちりと駆け巡っている心地良さと、行き場を失った疼きの相乗効果で、なんとも言えない微妙な良い気分。女性の完全にはいかないオーガズムが緩やかに収まっていく状態はこんな感じに近いのかもしれない、となんとなく思う。ひょんな事から木下さんの部屋に遊びに来て、今夜経験しているこのセックスに比べたら、今まで経験してきたセックスは、子供の遊びのような感じだ。
「その表情も、なかなかいいよ、亜蘭くん。君は、こっち専門の男優でもやっていけるかも」
「木下さん、さっき、サクラさんが上になっていた時、途中からしか記憶がないんだけど、ちゃんとゴム、着けてたんだですか?」
「これ。まだ世の中には出回ってない、超極薄」
 木下さんは僕の顔の上でひらひらさせたコンドームの袋を、ベッドの横のひとり用のチェアに座っているチアキさんに手渡した。チアキさんはいつからそこにいたのだろう。チアキさんは袋の中身を取り出してサイドテーブルの上のロックグラスの液体に数秒間浸し、口に含んだそれをゆっくり僕に口で装着していく。
 かすかに先端部分に刺激を感じて木下さんに訊いてみる。
「お酒……じゃないですよね?」
「まあ、一種の媚薬だね。ちょっと塗ると、両方気持ちよくなるやつ」
 さっきのクスリとコンドームを浸した液体の効果なのか、2回射精した(気がする)にも関わらず、相当なレベルで勃ち続けている欲棒の先端を、仰向けに横たわっているサクラさんの部分の濡れ具合いを確認するように何度か擦りつけると、その部分はゴム越しでもはっきり判る程にとろとろな状態で、ほんの少し押入れてみると、入り口付近の狭い部分をとぅるんと通過して、吸い込まれるように奥の方まで入り、先端が奥の壁に触れたと思うと、欲棒全体がきゅっと締め付けられて声が出そうになる。
 これ以上ないレベルで局部を密着させながら、サクラさんの首の下に腕をまわして、上半身も密着させて、頬を寄せて、サクラさんが漏らすかすかな息遣いを間近に聴く。深く愛し合う恋人同士のようにくっついて、ピストン運動をほとんど行ってないにも関わらず、きゅっと閉められたサクラさんの部分のかすかな蠕動で、人生で初めて感じる絶妙な快感が張り詰めた欲棒全体を包み込む。
 これまでに経験したセックスは、ごく普通の正常位と後背位だけで、しばしば中折になり、逆に挿入中にフル勃起になった時はしばしば早漏で終わってしまっていた。女性を満足させるだけの大人のセックスを挿入中に行えた経験を持たないのに、正常位で挿入してみたものの、サクラさんの欲望や木下さんさの撮影心を満足させるような動きを、主体的にする事なんて、とてもできそうにない。そんな事は多分木下さんもサクラさんも承知しているだろうから、若さの特権で自由に動けばいいのだろうか。
 肛門の辺りに人の気配とかすかな吐息を感じる。木下さんは繋がっている僕とサクラの股間に肉薄して撮影しているようだ。体を起こして確認してみようとするが、僕の背中はサクラさんの腕と脚でがっちりとロックされていて動かない。僕の首に抱えている手は耳たぶのあたりを軽く弄ぶように触れ、腰の上でプロレス技のように足首を交差している足の踵は、僕の腰のあたりを時々強く押す。その押す動きが、サクラさんの内奥の締め付けや蠕動と連動しているようだ。僕はサクラさんの上に覆いかぶさってサクラさんの中に完全に入っているが、主導権はサクラさんが握っている。
 サクラさんが腰のあたりを押す足の強弱に導かれて、ほんの短い距離(体感では2〜3㎝程度)のピストン運動をゆっくり行う。手前にひく時にはサクラさんのその部分は少しだけ緩み、奥に戻す時にきゅっと締まる。
 始まりがいつだったのか思い出せない程に永いあいだこんな風に繋がって、この時間が永久に続く事を希うような緩やかな動きをずっとずっと続けていたような気分が続く。僕の内部の一番凶暴な牡の部分は、一度上半身を起こして、サクラさんの脚のロックを解いて、膝の内側に腕を入れて大きく開かせて、または足首のあたりをつかんで大きく脚を開かせて、アダルとビデオの男優がよくやるように、完全に支配するような形で、これ以上ない激しいピストン運動をして、それで射精してしまうもよし、射精に至らなければ、よつんばいにさせて、腰の辺りをつかんで、思い切り奥まで一気に挿入して、脚のつけねがおしりに当たる音をパンパンパンと響かせて激しいピストン運動をして射精してしまおうと考えるが、その凶暴な意思に反して、身体を動かす事ができない。
 ただ、挿入している部分だけが、僕の意思には関係なく、緩やかに、たおやかに、ほんの少しの往復運動をゆっくりと続けていて、全身が粟立つうような不思議な安心感と快感に包まれている。
 さっきまでは互いの顔が判る程度の明るさだった間接照明は、いつのまにか、殆ど真っ暗になっていて、木下さんとチアキさんの気配は感じられなくなっていて、くっつけている頬を通じて聴こえていたサクラさんのかすかな声も聴こえなくなっている。がっちりと僕をロックしている女性が、本当にサクラさんなのか、僕は本当にこの場所に存在して、サクラさんと思われる女性と繋がっているのか、だんだん確信が持てなくなってきて、かすかな恐怖心が生まれるが、それでも、抱いている女性から伝わってくる体温と欲棒を暖かく包んでいる感触がそれを上回り、僕はゆりかごで眠る赤子のように、その状態のまま、いつの間にか眠ってしまったようだ……。

 ✕ ✕ ✕ ✕ ✕

 現実以上の現実感がある、あまりにも強烈な夢を見て、目が覚めてからしばらくの間、現実と夢の区別がつかなかった。サクラさんとセックスしていたこの夢の方が現実で、いまこの瞬間は夢を見ているのではないか、というマトリックス的疑問。この夢は夢ではなく、実は、実際に経験した事なのだろうか? 木下さんに飲まされたクスリのせいで、こんな強烈な体験を、まるごとすっかり忘れてしまうなんて事があるだろうか。
 夢で見た内容をその記憶が鮮明なうちに書き留めておこうとパソコンを打っていると、キーボードに触れる指先の現実感が、サクラさんに包まれている感覚の強烈な残滓をオーバーライトしていく。 
 言葉に置き換える事によって、身体感覚が別の何かに置き換えられて、意味を少しづつ削られて失っていくようだった。この感覚の残滓を、例の書きかけの小説の性愛シーンに生かさない手はない、と思いついてファイルを開くと、間違いなく空白だった筈のその部分は、ぴったりの分量と的確な表現で埋まっていた。普段の僕は用いないような言葉や表現がいくつも散りばめられているが、それでも僕が書いた文章には間違いない。元々漠然と考えていた枠から大きく外れてはいないし、他のシーンとの脈略にも問題はない。だが、何度読み返しても、僕には、そのシ−ンを書いた記憶は全くなかった。
 その後しばらくの間、眠りに落ちる寸前に、サクラさんに触れた時の快感が強烈に蘇ってびっくりして目が覚めてしまった事もあったが、次第に、夢の記憶は曖昧になっていった。60歳になった最近は、夢の記憶も現実の記憶も等しく曖昧になりつつある。公園を散歩して陽の光を浴びながらベンチに座っていると、いまこの瞬間の意識や記憶さえ曖昧になり、この暖かさに包まれて、光の粒子になって溶けていきたいような心地になってくる。強烈に生を感じるのはキーボードを叩いて小説を書いている時だけ、と言って間違いない。

【了】

———————————————————————————————————————
■1984年日記
●1984.09.27(木)
○9:15頃4317に入ると殆ど人が居ない(休講だったようだ)
一食でS、 F等とカレーライス。
Fと一緒に社会学。久しぶりにきちんとノートをとった。ホント久しぶり。
○芳林堂で週プロ、チェックメイト。マクドナルドで週プロ読む。新日はどうなるのだろうか。UWFが見たい。
○8m/m班「イントルーダー」。アフター「メノコ」19:30過ぎまで(1500円)。
●1984.09.28(金)
○昨夜2:00頃から起きている。ビデオ。基礎演すこし。9:00頃一寸寝るともう起きられない。
○16:00頃池袋へ。学生部。年間15万はきつい。
○途中でS.Kに会う、風邪気味なので帰るとの由。
●1984.10.06(土)
○竹中直人コンサートSTAFF(11:00〜)。途中「痴漢保健室」。
○歯がひどく痛むので薬局で薬買って車寿司で飲む。
○オールナイトはとりやめ。Hと一緒に部屋で「サイコ2」「ミラクルマスター」見る。
※Hは中学の同級生
●1984.10.07(日)
○歯の痛み、人生で一番痛い。
○15:00上映会。ほとんど内輪のみ。場所も判りにくい。
●1984.10.08(月)
○午前中歯医者。
○体育、また我がチームは負け。体育祭強制参加? 冗談きついよ。
○映画表現論出席。夜は家庭教師のバイト。
●1984.10.09(火)
○にっかつ早番。芳林堂で「発語訓練」。
○帰宅後バタンキュー。歯はまだ痛い。38.2℃まで上がる。
●1984.10.10(水)
○体育の日。にっかつ早番。熱はなんとか37℃台まで下がった。
○「人狼戦線」読了。「ウルフレター」読む。

———————————————————————————————————————

■2024年日記
●2024.09.20(金)はれ(暑い)
○夕食はグリルチキン、にしん、オクラなす、納豆、キムチ、味噌汁、ごはん、金麦。
○夜食は夕食の残り、ごはん少々、甘辛揚げせん、焼酎水割り4杯。
○広島 – 巨人7回表中堅手なら捕れそうなように見えた坂本の打球(結果は右翼手がダイビングして取れず)、2死ならこの打球は一塁走者はコンタクトの瞬間から全力疾走で生還できたぼでは?
●2024.09.21(土)はれ、夕方一時雨
○夕方少しウトウトのつもりでがっつり寝てしまう。途中ABEMAで大相撲大の里をチェック。
○夕食はカレーライス1.5杯、サラダ、昨日のにしん、チキンカツ、金麦。
○夜食はカレーライス、ミニチキンラーメン、水割り2杯。
○ジャイアンツ4-1から8回裏4失点で逆転負け。もし優勝を逃す事になったら後々キーになったと言われる試合。※幸いそうならなかった
○岡田監督「前半で投手を4人も使ったら勝負にならない」と嘆くが交代したのは監督の判断。たとえ5〜6点取られても先発投手は5〜6回投げさせるべきだと思う。6回終了時までに味方は5点取っているので先発・西が6回6失点なら充分勝負になっていた。
●2024.09.22(日)はれ/雨
○Match Factory!延々、その後眠気を感じながらYouTubeショート延々。最悪パターン。眠気が感じられなくて起きているなら読書をするか映画かドラマでも見ればいいものを。20歳の頃の日記を読み返すと時間の無駄使いに関して再三記述しているので僕という人間の性か。
○夕食はチキン、ナス肉巻き、鶏肉もやし、寿司、とろろお吸い物、金麦、日本酒。
○送りバントという戦術は嫌い。投手の調子が判らない初回はなおさら。基本的に全てのイニングでどんどん打って3点以上取る事を目指して欲しい。
●2024.09.23(月)はれ
○延々寝付けない気がしていたが延々寝付けないリアルな夢を見ていたようだ。
○夕食はそぼろ、キムチ、インスタント味噌汁、冷凍ごはん2個、金麦。
○夜食は肉うどん、焼酎水割り。
○Match Factory!156無課金ノーアイテムの規定時間1分45秒やっとクリア。戦術は黒白見ずに同じ色消しまくり一択。少しでも停滞すると時間が足りなくなる。同色が見えなくなった時にバーがクリアもしくは他の1個でないと厳しい(運が必要)。多分再度チェレンジしたらまた延々失敗すると思う。クリアした勢いで200までほぼ一気にやってしまう。
●2024.09.24(火)はれ(涼しい)
○ゴミ出しのついでにほんの少し散歩。真夏の格好だと涼しい。以前のメガネだと恐ろしいほどよく見えない。給湯温度を60℃に上げる。
○夕食はサイゼリア。プチフォッカにハンバーガーと青豆と半熟卵をいれて月見バーガー風にして食べる。そのまま食べてもおいしいプチフォッカがさらに美味。デカンタ2杯。
○夜食はたまごかけご飯。
○SR渋谷は26年に江東区に移転。青学の体育館は新トップカテゴリーの基準満たせず。
●2024.09.25(水)くもり
○午後に中目黒方面約30〜40分散歩。図書館、東急ストア。GTプラザのおしゃれなタイルには雨で濡れていると滑る素材のが紛れ込んでいるので要注意。気温は高くないが湿気があり、厚手のTシャツ+薄手のブルゾンに短パンで15分も歩くと汗ばんでくる。
○東急ストアで完全自動レジ初利用。東急ポイントで支払いを選んで青く光っている東急ポイント読取機に差し込んでも反応しない。普通のクレジットカードリーダーに差し替えて選び直して決済。
クレジットカードリーダーで東急ポイントを選ぶと残額が表示されので、東急ポイント読取機(という表記だったと思う)が何の為にあるのかよく判らない。
○1時間デイパックに入れていたMacBook Air異常に発熱して100%→62%。やはりバッテリーがダメっぽい。
○夕食は骨付きグリルチキン、肉野菜炒め、納豆、キムチ、味噌汁、ごはん、金麦。
○「辛坊治郎 ズームそこまで言うか!」かつては男性アナウンサーと言えばスポーツ実況で、バラエティを担当するようになったのは逸見政孝が最初、それ以前は徳光和夫がちょっとやってた程度で男性アナウンサーがバラエティを担当する事は殆どなかった、といった話をしていたが、「うわさのチャンネル」の徳光和夫はずっぽりバラエティだと思うし、久米宏の仕事をどう考えているのだろう。
●2024.09.26(木)はれ
○Match Factory!少しだけのつもりが60分程やってしまう。脳の活性化の為には悪くなさそうだが同じ姿勢でやり続けるは絶対身体に悪い。できれば長くても15分、続ける場合は一度休憩して体操して姿勢を変えること。
○MacBook Air、2時間15分のスリープでバッテリー完全放電。バッテリーは完全におかしい。
○夕食はカップ天ぷらそば、金麦。
●2024.09.27(金)雨
○富野由悠季「ガイア・ギア」#1。1988年の日記を読み返すまで存在さえすっかり忘れていた。
シャア存続作戦のアイディアはユニコーンのフル・フロンタルに受け継がれている?
○左上左下の歯に常時痛みがあるのでEVE2錠服用するが4時間後に再び痛みだす。
○夕食は肉野菜炒め、餃子、納豆、キムチ、味噌汁、ごはん、金麦。
○「朝まで生テレビ!」地上波深夜最終回、次回以降BS朝日日曜19:00〜21:00もタイトルはそのまま。
●2024.09.28(土)くもり
○今日も歯が痛い。ベッドで横になったままあちこちのツボを押して老廃物が流れる事をイメージする。詰まっていた左の鼻が通り、少し痛みも軽減した気がする。
○全身の血流改善を期待して近所散歩。AirPodsProを付けずドラクエもやらずに素で歩く。数メートル先の人物にピントが合わない(二重に見える)。恵比寿公園のベンチで少し休憩、恵比寿西から駅前を抜けてピーコック。
○非常持出袋のカロリーメイトとクラッカー入れ替える。
○夕食はグリルチキン、ナスの煮浸し、たまごスープ、炊き込みご飯。左側は痛みがあって強く噛めない。
○食後に寝落ちしてジャイアンツ4年ぶりのセリーグ優勝の瞬間見逃す。
○夜食は夕食の残り(炊き込みご飯、グリルチキン)。夕食時より薬効いていてなんとか左側でも噛める。
○国立開催の清水vs横浜FC、J2の最多観客数(約5.5万)。
○錦織29位に2-0で勝利してベスト8。先日に続いて今日もチケット完売。
○Match Factory! 制限時間なしで自分のペースでゆっくりできて、気に入った回は保存して何度でも挑戦(自己ベストを目指す)できればいいのに。
●2024.09.29(日)くもり/雨
○自宅浴槽に大きなヘビが入っている夢で目が覚める。
○午前中は前日よりマシだった歯の痛み、午後から亢進。昨日は小鼻の横あたりだった顔の腫れ、頬骨のあたりまで広がってきて、歯や歯茎よりも頬骨のあたりが一番痛みを感じるようになってくる。首の両側(リンパ?)も腫れている。
○夕食は水炊き、アボカド、ごはんほんの少し。左側の上の粘膜に食べ物が触れると痛みがあるのでうまく食べられない。噛まずに食べられる豆腐とアボカドを主に食べる。
●2024.09.30(月)くもり
○汗をびっしょりかいて目が覚めると痛みが軽減して体が軽い。痛み止めを飲まなくても平気になった。体調不良の要因はストレス(単調な生活)と運動不足が大きいのではないかと思う、なんとなく。なんにつけ、これはする/これはしないは決めない。生きてさえいればOK。
○夕食はインスタントラーメン(生卵、ネギ、のり)。
○やけに体がオレンジジュースを欲しているので深夜にファミマに行く。
○「大竹まこと ゴールデンラジオ」大竹まことは今週は遅い夏休み。冒頭の阿佐ヶ谷姉妹と森永卓郎の歌、今週もキーが合ってない。今日から10月期でこの歌はなくなる事を期待していたがまだ続くらしい。
●2024.10.01(火)
○夕方中目黒方面散歩。図書館で2冊返却して2冊借りる。後ろに僕がいる事に気づいているのかいないのか、受け取った本をその場でバッグを開けてゆっくりしまう男。僕は誰も待っていなくても、半身で受け取ってすぐさまカウンターを離れる。たとえ数秒でも他人の時間を平気で奪えるのは上司体質とでも呼ぶべきか。人間性の違い。
○また製氷機の周りに大量に氷ができているので温度設定を一番低くしたらまた庫内が水浸し。わずかな金を惜しんでワンドアの小さな冷蔵庫を買って後悔しかない。あと1万円も出せば最低限のツードアは買えた。
○夕食はいわし缶詰、インスタント味噌汁、キムチ、ごはん2個。
○Match Factory!約1時間やると、脇の下から嫌な匂いの汗が出て、歯茎と頬の腫れは少し亢進する感覚。普段は使わない部分の脳を使い、興奮して普段は出ないアドレナリン的な何かが出ているのかもしれない。
○夜食はクラッカー2袋、オレンジジュース、冷奴、ゆでたまご、焼酎水割り2杯。
○毎年この時期に思う事だがなぜ日本のプロ野球はMLBのうように間を空けずにポストシーズンに入れないのか。
○柳沢きみお「100%」第4巻、早朝の帯番組の会議が14:00〜16:00ってのは取材に基づいた描写なのだろうか。僕が90年代後半に担当していた6:00〜7:00の番組は、記憶では、8:00から反省会を兼ねた会議があり、これは1時間程度で終了、週に1回ひまネタ用の企画会議がそれに続いて行われたが、こちらはアナウンサーは出席せず、午前中には終了していた。
●2024.10.02(水)はれ(暑い)
○Netflix再加入。790円の広告付きコースにしてみる。「極悪女王」第1話オーディションのくだりまで見てみたが(約30分)なんだかかったるい。特に驚きもない展開をやたらと丁寧に語る。見て覚えたプロレス技でダメ親父をやっつける展開を期待したがそれもなし。
○夕食はハンバーグ、納豆、キムチ、白菜ベーコンスープ、ごはん1.5杯、金麦500。
○青山七恵「かけら」こういう普通の話を丁寧に繊細に書ける人を尊敬する。こういう話をできれば書いてみたいと思うが僕には無理。どうしても何かしら通常でない事や無駄に過激な性的描写を書いてしまう。
●2024.10.03(木)くもり/雨
○夕食はシーチキン丼(ごはん2個、たまご、キムチ、マヨネーズ、わさび、白だし、醤油)、金麦。
○夜食はカップきつねうどん+たまご、ミニチキンラーメン、焼酎水割り3杯。
○「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」U-NEXT
少女の幽霊(?)のキャラデザと声(話し方)が生理的に受け入れがたい。2000年以降に生まれていればこういうアニメに慣れていれば普通に楽しめるのだろうか。
○宇多丸さんの映画評「スオミの話をしよう」ここまで酷評だとちょっと観てみたくなるw〈先回り台詞ツッコミ〉は宇多丸さんの造語だろうか。
○いつかそのうちと言ってる間に人生は終わってしまう。やるならいましかない。いま15歳でも50歳でも85歳でも今夜いきなり心臓が止まる・大きな血管が詰まる病気で突然死する可能性はゼロではない。それは頭では判っていても、気がつけば先送りをしてしまっている事が、この年齢になっても多い。午後は「いま書けなくても深夜に書こう」深夜は「なんか気が乗らないから明日の午後に書こう」。毎日決まったパターンで生活して同じ時間に書くのがベストなのだろうが、基本不眠気味だし、重要なスポーツの試合はどうしてもできるだけLIVEで見たいので、それも難しい。
●2024.10.04(金)くもり
○夕食後に寝てしまうパターンの限界。5〜6時間眠れてそのままずっと活動できるなら良いが3〜4時間で目が覚めてしまう。9:00頃まで活動してすぐにふたつのめのバスに乗って13:00頃までに起きられれば良いが、たいてい11:00〜12:00まで眠れず、午後を台無しにしてしまう。
○Match Factory!499、300円支払って100G(60秒)でクリア。計600円課金。
○夕食はグリルチキン、ほうれんそうソテー、ブロッコリーたまごとじ、納豆、キムチ、味噌汁、ごはん、金麦。格付けの続き見る。CMが長いので2問しか見られない。ロックバンドの問題は全員不正解(SHOW-YAと小学生)。
○夜食は夕食の残り、ミニチキンラーメン、ゆでたまご、焼酎水割り4杯。
●2024.10.05(土)雨
○いつもは殆ど食べない昼食でそうめん2束、さすがに多かった。通常はふたりで3束。
○Match Factory!、昨日から手こずっていた回を砂時計貰ってクリア。30分もやれば親指や手首に痛みが出てくるのだから長くても15分でやめればいいのに、難しいのをクリアすると何かしらの脳内麻薬が出るのか、取っておけばいい時間のハートも勢いで受け取って約3時間近く続けてしまう。左手首にも痛み。これを客観的に中毒と言う。
○夕食はカレーライス、チキンカツ、アボカド、金麦。格付け続き。
○夜食は冷奴、カレーライス、焼酎水割り3杯。
○Netflix「地面師たち」全7話。画、音楽、ムード、演技はハイレベル。ストーリーはいまいち。
●2024.10.06(日)くもり?
○9:30過ぎから18:00頃までベッドで過ごす(!!)。ウトウトしつつドジャース戦、大谷の同点3ランの絶叫実況で目が覚めてその後なかなか寝付けない。
○夕食は寿司、明太チキンポテト、山芋、ローストタン、とろろお吸い物、金麦500×2、日本酒。
○たとえ1日15分〜30分でもいいので常に〈新作〉は書いていきたい。
○夜食は冷奴、ライトミール、ミニチキンラーメン、ローストタン、焼酎水割り4杯。
●2024.10.07(月)はれ
○眠れないのでカップラーメン(海鮮ちゃんぽん)食べる。
○先週火曜日に「広告つきスタンダードプラン」で再契約したNetflix、ここまで「地面師たち」全7話「極悪女王」全5話見たのにCMは1回も流れない。
○夕食は焼肉屋「ふたご」。盛り合わせ、上タン塩、ハラミ、キムチ盛合せ、ポテトサラダ、ごはん、生ビール、ハイボール。
○夜食は冷奴、ゆでたまご、ごはん1個(ふりかけ)、焼酎水割り2杯。
●2024.10.08(火)雨
○夕食後に3時間眠れたら「3時間しか眠れなかった」ではなく「3時間眠れたから一応OK」と思う事にする。
○夕食はインスタントラーメン+たまご、キムチ、ミニチキンラーメン、金麦。
○給湯温度を75℃に上げる。夏掛け布団に毛布を足す。
○君のクイズ(2022=小川哲)朝日新聞出版 189頁
問題文を聞かずに正解できたのは過去に同じ問題が出題されていたから(放送はされなかった)。
同じプロデューサーが意図的にやったのなら実質的にはほぼヤラセ。全国ネットの番組だとしたらそもそも地方にしかない店に関する問題が決勝の終盤の問題としてふさわしいだろうか。早押しクイズで勝つ為の技術的な話はなかなか面白かった(正解が判った時点で押しては遅い)。
●2024.10.09(水)雨
○午前中はやる気が出ずfacebookで自分の発言を過去に辿る。
○夕食は魚の煮付け、ほうれん草胡麻和え、たこ焼き、納豆、キムチ、味噌汁、ごはん1.5杯、日本酒ぬるかん。かえれま10「つるとんたん」見る。肉うどんうまそう。
○柳沢きみお「100%」全14巻 Kindle
最初の方は珍しく普通のちゃんとした話(新人アナウンサーの苦労話)だったが途中からやっぱり脱線・暴走して後半はほぼセックスの話。アナウンサーの話を書くに際して柳沢きみおは取材をしているのだろうか。感心させられるような具体的なエピソードはあまりなかった印象。早朝の番組の会議が14:00〜じろでアナウンサーも出席なんてホントにあったのだろうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました